談話

「浦西中学校への米軍機部品落下事故」に対する書記長談話

日本教職員組合書記長 清水 秀行
2019年06月07日

 6月4日午後3時半頃、沖縄県浦添市の浦西中学校のテニスコートに米軍のCH53E大型輸送ヘリのプロペラ部分に付けられる「ブレードテープ」と呼ばれる部品が落下した。当時テニスコートには部活動中の生徒約20人がおり、一歩間違えれば大惨事になりかねない。
 2017年にも、宜野湾市の保育園と小学校で今回事故を起こした輸送ヘリの同型機が部品を落下させる事故を起こしたほか、2018年には伊計島や読谷村に米軍ヘリが不時着するなど、米軍機の機体整備不良による事故が相次いでいる。日教組は子どもたちのいのちにかかわる米軍機の相次ぐ事故に強く抗議するとともに、普天間基地の運用停止を求める。
 浦西中学校周辺では、上空を飛行する米軍機による騒音や電波障害の被害が日常的に繰り返されている。今回部品落下事故があった浦西中学校では、生徒の安全確保のため、当面の間、屋外での部活動中に監視をつけ、米軍ヘリが飛行した場合は一時避難をするなど、安全対策に追われている。米軍機が頭上を飛び交い、そのために屋外での教育活動が中断されることなどあってはならない。
 本来、子どもたちには、静かに安全に学び生活することが保障されるべきである。しかしこの地域に生まれ育った子どもたちは、常に軍用機の爆音にさいなまれ、軍用機の墜落や落下物の恐怖に怯えながら学校生活を送らざるを得ない。日常的な避難は憲法が保障する教育を受ける権利さえも侵害している。この現実を許してはならない。
 海兵隊は翌日、落下物があったことは認めたが、約20グラムの布状のテープだったことから「人や物に危害を与えるものではない」と発言している。また、日本政府は「原因は究明され、再発防止策が取られている」として飛行停止を申し入れない考えを示した。あまりにも事態を軽視していると言わざるを得ない。落下物ではなく、部品が落下したこと自体がいのちに関わる問題である。被害がないからといって、問題を軽視することは許されない。
 徹底した原因究明と、普天間飛行場の即時閉鎖・返還にむけて議論を開始するよう日米両政府に強く求める。
 日教組は、在日米軍基地の縮小・撤去、日米地位協定の抜本的な改定を求めるとともに、危険と隣り合わせにある基地周辺住民、とりわけ過剰な基地負担を負わされている沖縄の現状を改善させるため平和フォーラムとともにとりくみを強化する。
                                             以 上

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