談話
「OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2018」の結果公表に関する書記長談話
本日、文科省は「OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2018」の結果を公表した。今回の調査には、OECD加盟国を中心に48か国・地域が参加、日本では小学校が初参加した。本調査は、18年2月~3月に実施され、小学校197校のうち校長197人、教員3,361人、中学校196校のうち校長196人、教員3,605人が参加した。
調査結果では、社会全体で労働時間の短縮にむかう中、中学校教員の仕事時間は、前回調査(2013年)よりも増加し、小中学校ともに参加国中最長となった。極めて深刻な事態と言わざるを得ない。また、「教職員が児童生徒と過ごす時間が不足している、あるいは適切でない」との校長による回答は高く、「一般的な事務業務」「学校内での同僚との共同作業や話し合い」が参加国中最長となっている。報告書の作成や職員会議などの諸会議などに忙殺され、子どもが在校する時間に教職員が余裕なく、様々な課題を抱える子どもへの対応に苦悩する学校現場の実態が読み取れる。
さらに、中学校教員の「課外活動の指導時間」は7.5時間で、参加国平均1.9時間に比べ依然として膨大な時間を費やしている。昨年7月、日教組が実施した「学校現場の働き方改革に関する意識調査(11,125人回答)」では、「地域のスポーツクラブ等への移行41.5%」、「部活動は引き続き教員が指導する10.5%」であった。中学校における部活動指導の負担はもはや限界であり、すべての中学校関係者は少なくとも「部活動ガイドライン」にもとづく部活動に速やかに改めるよう決意し実行すべきである。
また、「学校内外で個人で行う授業計画や準備」が長く、教員の「職能開発のニーズ」が高いとの評価に対して、「主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善」は十分でないと分析されている。これは、学校現場が全国学力・学習状況調査にみられる点数学力の向上を強いられていること、あるいは効率的な授業を求められること、もしくは教育課程があまりにも過密で授業改善にとりくむ時間的・精神的余裕がないことが当然推察され、むしろ教育行政には総合的・包括的な視点での教育政策の早急な見直しが求められている。
本調査の中学校教員を対象とした「仕事に対する教員の満足度」では、「もう一度仕事を選べるとしたら、また教員になりたい」との問いに対し、参加国平均75.8%を大きく下回る54.9%であった。全国で見られる教員不足の実態や教員採用試験の志願倍率の低下など、深刻な「教職離れ」により公教育の持続性が危ぶまれている。
日教組は、職場を「働き方改革」の軸に据え、TALIS2018結果をもとに、引き続き、業務の見直し、定数改善等必要な人員の配置、給特法の廃止・抜本的な見直しの3つのベストミックスを求めるとともに、すべての教職員が「働き方改革」の効果を実感できるようとりくみを強化する。
以上