談話

2012年度 文科省「全国学力・学習状況調査」の結果公表に対する書記長談話

2012年08月09日

2012年度 文科省「全国学力・学習状況調査」の結果公表に対する書記長談話

2012年8月8日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

本日、文科省は、2012年度「全国学力・学習状況調査」(4月17日実施)に関する調査結果および分析データを公表した。

抽出調査であるため都道府県ごとの状況を示す数値については、単なる平均正答率ではなく統計上の意味を持たせた数値の幅で表している。

教科に関する調査結果については、国語、算数・数学において「記述式問題を中心に課題が見られる」と、これまでの調査結果と同様の内容になっている。また、新たに追加された理科においても「観察・実験の結果などを整理・分析した上で、解釈・考察し、説明することなどに課題が見られる」という結果で、新たな傾向や課題が明らかになったとはいえない。一方、質問紙による関心・意欲・態度と平均正答率の相関関係について同様の傾向はこれまでも認識されていることであり、こうした調査結果は、5~10%程度の抽出率で十分把握できる内容である。

日本教職員組合の実態調査では、理科が追加されたことにより「長時間実施により、子どもたちの集中力が切れたり、意欲の低下が見られた」「緊張が続き、子どもの負担感、疲れが増した」「授業時間確保の面に影響があった」等、子ども・学校現場の負担増の声がある。また、希望利用について「学校で採点・集計・報告を行うため教職員の負担になっている」「教育委員会が独断で希望利用参加を決定している」等、現場の声が反映されていない状況が報告されている。さらに、事前練習や学力調査の成績向上対策の強化、市町村別の結果公表を明言する自治体等、調査の本来の趣旨と反する動きも見られる。

文科省は、これまでも調査結果は不開示情報とし、教育委員会に対して適切な対応を求めているが、情報開示請求をうけ開示にふみきる自治体があった。

13年度は「きめ細かい調査」として全数調査が予定されていることから「序列化・過度の競争」に対する懸念が一層強まっている。

今、子どもたちにとって必要な「学び」は、点数・順位にふりまわされることなく、学ぶ意欲や学びの過程、学びあう人間関係づくりなど、子どもたちが主体となる「ゆたかな学び」である。少人数学級の推進、加配措置など子ども一人ひとりの学力保障に資する教育条件整備につながるよう、調査の目的・方法・内容等を抜本的に見直すことを強く求める。

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