談話
2013年度政府予算案の閣議決定についての書記長談話
2013年度政府予算案の閣議決定についての書記長談話
2013年1月29日
日本教職員組合 書記長 岡本 泰良
本日、政府は2013年度政府予算案を閣議決定した。2012年度補正予算とあわせて、デフレ脱却、景気対策のために切れめのない15ヶ月予算を編成したとしている。その内容は、財界が求める公共投資重視となっている。一方で、生活保護について生活扶助基準の引き下げを行うとしている。これは、困窮家庭への子どもたちへの就学支援である就学援助の基準や最低賃金の引き下げにも影響しかねない。
このように、民主党政権が掲げた「コンクリートから人へ」を転換する「人からコンクリートへ」の施策である。今後、旧来の市場・効率主義に傾斜した政策と合わせ、格差社会の拡大を強く懸念する。
教育予算においては、小学校1年生、2年生と続いてきた35人以下学級の拡充が措置されていない。教育課題に対応するための定数改善も不十分である。また、財務省は「少人数学級を拡充するのではなく、むしろ、子どもの減少に見合った教職員定数を減少すべき」との主張までしている。文科省は少人数学級の推進や計画的な定数改善について引き続き検討していくとしているが、「教育再生実行」のひとつが、教職員定数改善の流れを止めることなのか、政府全体として国民に説明すべきである。
一方で、子ども・学校への負担ともなっている全国学力・学習状況調査の悉皆化など、有効性・必要性がない施策が予算化されている。また、高校授業料実質無償化の所得制限のための検討予算が計上されているが、政府が「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(社会権規約)の中等教育・高等教育の「漸進的無償化条項」に対する留保撤回を閣議決定している経過からも、無償化を継続すべきである。
国家公務員の給与削減を地方公務員にも連動させるために、地方交付税と義務教育費国庫負担金を削減した。これまで、多くの自治体において給与削減が実施されてきており、それが「負のスパイラル」を招き地方経済に悪循環をもたらしてきたとの指摘がある。今回の政府予算案は、デフレ脱却、景気対策、地方活性化するためのものと説明しているが、全く真逆な手法である。また、地方分権の方向に反する中央集権のやり方であり、断じて認めることはできない。
日本教職員組合は、政府予算案の問題点について、国会審議の中で与野党に働きかけを強めていく。同時に、少人数学級の必要性などについて教育関係者・教育関係団体と連携をしつつ訴えていく。