談話

2013年度 文科省「全国学力・学習状況調査」の結果公表に対する書記長談話

2013年08月29日

2013年度 文科省「全国学力・学習状況調査」の結果公表に対する書記長談話

2013年8月28日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

8月27日、文科省は、「きめ細かい調査」として全数を対象に行われた2013年度「全国学力・学習状況調査」(4月24日実施)の本体調査に関する調査結果および分析データを公表した。

文科省は、平均正答率において最低平均正答率と全国平均との差が縮小傾向にあり、全体として底上げが図られたとしている。しかし、質問紙調査結果では依然として4割の子どもが学習意欲を持てておらず、子どもの主体的な学びにつながっているとはいえない。平均正答率の改善が見られた都道府県のとりくみ例の紹介は、その責任を教育委員会・学校に転嫁し、子どもや教職員に点数を上げるためのさらなる手立てを強いることにつながることが危惧される。

日本教職員組合の実態調査では、過去問による事前練習の繰り返しや自治体独自調査の増加等により、「子どもたちがやる気をなくしていく」「疲れ果ててぐったりしている」「自己肯定感が低くなっていく」等、学習意欲や自信を失っていく子どもの姿が報告されている。また、調査のために子どもの負担となる量の宿題が出されていることに対する保護者からの疑問の声があげられている。被災地からは、今なお十分な教育環境にはなく、調査に使う多額の予算を被災地復興や教職員増に回してほしいという切実な声もあげられている。

文科省は一貫して学力調査の目的を「教育施策の成果と課題を検証し、改善を図る」としてきたが、実態は本来の趣旨からかけ離れ、競争・序列化により子どもたちにとって大きな負担・ストレスとなっているのが現状である。

今回の結果分析において教科に関する傾向に大きな変化はなく、調査を毎年行う必要性は見いだせない。

14年度調査において検討されている悉皆方式、市町村別・学校別の結果公表は、成果主義・競争主義をますます助長することにつながる。

いじめ・子どもの貧困等が深刻化する中、点数・順位にふりまわされることなく、学ぶ意欲や学びあう人間関係づくりなど、子どもたちが主体となる「ゆたかな学び」を保障することが重要である。少人数学級の推進、加配措置など子ども一人ひとりの学力保障に資する教育条件整備につながるよう、調査のあり方を抜本的に見直すことを強く求める。

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