談話

「2014年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」に対する書記長談話

2013年12月03日

「2014年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」に対する書記長談話

2013年12月2日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

11月29日、文科省は「2014年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」を公表するとともに、各都道府県および指定都市教育委員会等に通知した。

調査結果の取扱いについて、これまでの市町村別・学校別の結果公表は行わないという原則を崩し、実施要領に定める配慮事項に基づき、教育委員会における市町村別・学校別の公表を可能とした。実施要領には、「数値のみの公表や数値を一覧にした公表・順位を付した公表は行わない」「個人の結果が特定されるおそれがある場合や学校・地域の実情に応じて結果を公表しない」等、一定の配慮事項が示されているが、個々の公表された数値を並べれば順位付けは容易となる。また、文科省のアンケート結果における約8割の学校や市町村教育委員会をはじめとする、公表に反対の多くの声を無視したものである。専門家会議でも反対・慎重の意見が出されており、十分議論が尽くされたとは言えず、「公表ありき」の結論と言わざるを得ない。

いじめ・不登校・虐待・格差等、子どもをとりまく状況は深刻であり、大きなストレスを抱えている中、数値による評価・比較ではますます子どもを追いつめることにつながる。いま必要なのは、子どもの学ぶ意欲や学びあう人間関係づくりなど、子どもたちが主体となる「ゆたかな学び」である。また、数値公表による「説明責任」ではなく、日々の授業やさまざまな教育活動等を通して、学校や子どもの学力に関わる状況や課題を保護者・地域住民と共有することが重要である。

日本教職員組合は、子ども・学校の負担を軽減し、序列化・過度の競争につながらないよう、調査の抜本的見直しを訴えてきた。調査結果の取扱いについても、「市町村別・学校別の結果公表を行わない」ことを実施要領に明記するよう強く求めてきた。
 各都道府県・市町村教育委員会等において、調査結果の取扱いが子どもや教育に及ぼす影響を考慮し、「ゆたかな学び」が学校現場で実現できるよう対応されることを求める。

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