談話

国際学習到達度調査(PISA2012)の結果公表に対する書記長談話

2013年12月04日

国際学習到達度調査(PISA2012)の結果公表に対する書記長談話

2013年12月4日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

12月3日、経済協力開発機構(OECD)は、国際学習到達度調査(PISA2012)に関し、数学的リテラシーを中心に、読解力、科学的リテラシーの3分野についての調査結果および分析データを公表した。65の国・地域が参加した中で、上位国のほとんどが東アジアの国々であり、日本は3分野において平均得点が経年比較可能な調査回以降、最も高くなっている。

文科省は、「習熟度レベル別でも、レベル1以下の下位層の割合が減少し、レベル5以上の上位層の割合が増加」したとしている。また、「数学に対する興味・関心を持つ生徒や数学の有用性を感じる生徒の割合は、2003年に比べると優位に増加」したとしている。しかし、OECDの分析によれば、数学における興味・関心や楽しみに関して、社会的経済文化水準の高い生徒と低い生徒間で大きな差違が見られ、教育格差の拡大に対する懸念が指摘されている。

日本の子どもたちの学習意欲に関しては、数学に対する楽しみについて肯定的な回答が38%と、OECD平均(53%)より低い。また、「数学の問題にとりくむ際に心細く感じる」との回答が35%(OECD平均30%)、「数学の宿題をする際に緊張する」との回答が56%(OECD平均33%)となっており、不安のレベルはOECD平均より高い。依然として、学習に対する興味・関心や子どものストレスが課題となっている。

PISAの結果から、今後問われるべきことは、点数・順位を向上させるための対策ではなく、子どもの学ぶ意欲や学びの質である。子どもたちが学ぶ目的や意義を見出し興味をもって学んでいくこと、具体的な問題を解決しながら考える力を伸ばすことが重要である。多様な人々と協力するためのコミュニケーション力、より良い環境の実現にむけ学び続ける力など、社会に出ていきる力につながる「ゆたかな学び」を保障することが求められる。

子ども一人ひとりの学力保障や子どもが主体となる「ゆたかな学び」を実現するためには、教職員が子どもと向き合う時間や教材研究・授業準備等の時間の確保が喫緊の課題である。日本教職員組合は引き続き、少人数学級の実現や教職員の定数改善など学校現場を支援する教育条件整備や教育施策等を強く求めていく。

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