談話

2015年度政府予算(案)の閣議決定に関する書記長談話

2015年01月14日

2015年度政府予算(案)の閣議決定に関する書記長談話

 2015年1月14日

 日本教職員組合書記長 岡本 泰良

本日、政府は2015年度政府予算(案)を閣議決定した。

学校現場では一人ひとりの子どもへのきめ細かな対応や、子どもが主体となるゆたかな学びがより必要となっている。同時に、様々な教育課題の解決が急務となっている。そのためには、法改正による確実な教職員定数改善が必要である。OECD「国際教員指導環境調査(TALIS)」において、授業時間は参加国とあまり変わらないにもかかわらず、日本の教員の1週間の勤務時間は参加国の中で最長となっていることからも、定数改善は必要である。

政府予算(案)における教職員定数算定において、統廃合による600人減の数を想定している。しかし、小中学校の統廃合の決定権限は文科省にはなく設置者の市町村である。予算上の見込みであり、それを除けば実質的には500人増といえる。いずれにしても、概算要求において、義務標準法の改正を伴う2024年度までの10ヶ年総数31,800人の教職員定数改善計画案を策定し、来年度分として2,760人分要求したことが実現しないことから、政府予算(案)は不十分である。また、予算編成過程において財務省は、「毎年度1,600人の教職員定数を削減すべき」「小学校1年生の35人学級を40人学級に戻すべき」という論外な主張を行ったが、子どもたちに寄り添った対応が困難となることから断じて容認できるものではない。35人学級は、学習意欲や児童・生徒理解の面で効果があり、保護者からも35人学級実施学年の拡充を求める声が強く出されている。国会において、財務省の主張に反論する決議が与野党一致で採択された。マスコミ報道においても、財務省の考え方に疑問が大きく出された。政府予算(案)において40人学級編制に戻すことはなかったが当然のことである。

東日本大震災で被災をし、経済的理由により就学等が困難な子どもを対象にした就学支援が行われている。事業対象の子どもの数は全県にわたり、総数で2013年度時点において5万人を超えている。日本教職員組合は、支援が継続されるよう首長・教育長に国への働きかけを要請してきた。来年度、基金方式ではないものの、全額国費で支援する「被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金」が継続される予算が盛り込まれた。家計の困窮で修学を断念することはあってはならない。日本教職員組合のとりくみがその一助となったが、2016年度以降も継続を求めていきたい。

教員給与について、人材確保法で「一般公務員より優遇措置が講じられなければならない」と規定されているにも拘わらず、この間、財務省は「一般公務員を上回っている分を削減すべき」と主張している。課題が山積する学校現場で、教職員の職務・職責が増している中、財務省の主張が認められなかったことは当然である。

日本教職員組合は、引き続き、私たちが求める学校現場に立脚した教育施策の実現を求めて国会対策を強化していく。

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