談話
義務教育学校の設置に関わる学校教育法等の「改正」に対する書記長談話
義務教育学校の設置に関わる学校教育法等の「改正」に対する書記長談話
2015年3月17日
日本教職員組合書記長 岡本 泰良
本日、政府は小中一貫教育を行う「義務教育学校」を新たな学校種として位置づける学校教育法等を一部「改正」する法律案について閣議決定を行い、今通常国会に提出することとした。
「義務教育学校」が法制度化されれば、現行の小学校・中学校と別の学校種が併存することになる。就学指定、教育課程の特例等については、政省令で規定するとし、就学指定された学校種により教育課程が異なることが起こり、学校間格差や地域間格差につながる。公教育の平等性、教育の機会均等が阻害されることが危惧される。どこの地域であっても、どの学校においても等しく学びが保障されることが基本である。
義務教育の複線化は他国にも例を見ない。2012年の作業部会の議論においても子どもたちの人間関係の固定化やエリート校化につながるとの懸念も指摘され制度化に至らなかった経緯がある。
答申では「設置者が地域の実情をふまえて小中一貫教育が有効と判断した場合に円滑に導入できる環境づくりのための制度化」としているが、これまでも小中連携のとりくみは地域の実情に合わせて行われてきており、現場は子どもたちの学びの継続について配慮し工夫してきている。学びの節目、子どもの負担、教職員の多忙化、免許併有等、課題は多く、あえて制度化する必要はない。また、学校統廃合などと併せて、トップダウンで導入の判断がなされることも危惧される。
日本教職員組合はこの間教育総研と連携し、問題点や課題等について指摘し、中教審・文科省への意見反映を行ってきた。引き続き日政連議員等と連携し国会対策を強化し、すべての子どもにゆたかな学びを保障する教育制度を強く求めていく。