談話

2017年度政府予算案の閣議決定に関する書記長談話

2016年12月22日

2017年度政府予算案の閣議決定に関する書記長談話

 2016年12月22日

 日本教職員組合書記長 清水 秀行

本日、政府は2017年度政府予算案を閣議決定した。

政府予算案における教職員定数は、文科省が概算要求において要求した3,060人分が実現しておらず、不十分と言わざるを得ない。しかし、「通級による指導」及び「外国人児童生徒等の指導」「初任者研修にかかる拠点校指導」を行う教員等が基礎定数化されたことは、学校現場の課題に対応するものであり大きな一歩である。また、東日本大震災で被災をし、経済的理由により就学等が困難な子どもを対象にした「被災児童生徒就学支援等事業」は、来年度も全額国費で支援する予算が盛り込まれた。日本教職員組合や単組・支部による国や首長への働きかけの成果であり、今後もとりくみを継続したい。さらに、財務省が主張した、「少子化による基礎定数減に加えて加配定数までも削減」には、歯止めをかけることができたことは大きな意味を持っている。

私たちのとりくみにより、給付型奨学金が18年度から本格実施となり、来年度は一部先行実施される。対象学生数や給付額の課題はあるものの、給付型奨学金の創設は、子どもの学びを保障する施策として大きな一歩を踏み出したと言える。また、無利子奨学金も拡大されるが、貸与型すべてが無利子奨学金になるようとりくみを継続する。日本は就学前及び高等教育における公財政負担がOECD各国平均より特に低い。幼児教育の無償化にむけた予算確保を含め、課題解消にむけたさらなる施策の実現のために今後のとりくみが重要となる。

現在日本では、18歳未満の子どもがいる世帯の相対的貧困率が16.3%と悪化し、6人に1人が貧困状態で家計の格差が教育格差につながってきている。また、学校現場の課題は複雑化・困難化している。日本語指導などを必要とする子どもや障害のある子どもへの対応、いじめ・不登校などの課題もある。学校現場からは、「児童生徒に対して、きめ細かに対応する時間的余裕がない」「教材研究、授業準備の時間が不足している」などの声があげられている。これらの課題解決にむけて、計画的な教職員定数改善や学校の負担軽減策が必要である。子どもの権利条約・国際人権規約にもとづく、就学前・初等教育から高等教育までの無償化、教育費の私費負担軽減等をはかる必要がある。

日本教職員組合は、私たちが求める学校現場に立脚した教育施策と教育諸条件の整備を求めて、今後も省庁対応や国会対策を強化していく。

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