談話

「大飯原発3、4号機の審査書案了承」に対する書記長談話

日本教職員組合書記長 清水 秀行
2017年02月28日

22日、原子力規制委員会(以下、規制委員会)は、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について、新規制基準に「適合」すると認めた。これをうけ関西電力は、今夏には再稼働させたいとしており、今後、地元同意手続きが焦点となる。

大飯原発3、4号機は2014年に福井地裁で運転差し止めを命じられ、控訴審において名古屋高裁金沢支部で係争中である。判決が出る前に再稼働することは、司法判断(一審)を軽視するもので許されるものではない。現在も専門家の間で、関西電力や規制委員会の地震に対する「過小評価」が大きな問題となっており、不安はぬぐえない。また、朝日新聞(2月)の世論調査でも、57%が再稼働に反対し、賛成のほぼ2倍となっている。民意と危険性を無視した大飯原発の「審査書案了承」及び再稼働への動きに対して、強く抗議する。

さらに大飯原発では、避難計画も問題となっている。原発の30キロ圏内は福井、滋賀、京都の3県にまたがり、約16万人の人々が暮らしている。現在、規制委員会は、避難計画の策定は審査の対象外として、国と自治体に投げ出した状態であり、その実効性も検証されないままになっている。また、地元の同意権は、福井県とおおい町のみに適用され、事故が起きた際に被害を受ける周辺自治体には認めていない。福島第一原発事故を経た今日、周辺自治体に居住する住民の権利の侵害とも言えるもので許されるものではない。まさに「無責任」の上に、再稼働がすすめられようとしている。
 
不十分な新規制基準だけをもって、再稼働ありきですすむ規制委員会に対して、日本の将来を展望し、広い視野から総合的に判断することを強く求める。

日教組は、「核と人類は共存できない」との立場を再確認し、経済よりも人命を優先する脱原発社会の実現をめざし、今後とも平和フォーラム・原水禁とともにとりくみを強化していく。

                                              以上

pagetop