談話

2019年度政府予算案の閣議決定に対する書記長談話

日本教職員組合書記長  清水 秀行
2018年12月21日

 本日、政府は2019年度政府予算案を閣議決定した。
 政府予算案における教職員定数は、文科省が概算要求において要求した「学校における働き方改革や複雑化・困難化する教育課題に対応するため」の2,615人は実現せず、1,456人に留まった。教職員の働き方改革に係る実効性ある予算とはなっておらず、学校現場の願いとは程遠く極めて不満が残るものである。
 教員の持ちコマ数軽減による教育の質の向上として概算要求した小学校英語専科教員1,000人は予算化されたが、全国で約20,000校ある小学校のすべてで持ちコマ数軽減及び外国語教育の充実に対応できる数ではない。
 中教審「学校における働き方改革特別部会」の「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申素案)」及び文科省「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)」では時間外勤務の上限規制が示された。日教組はこの間、学校の長時間労働是正には、定数改善、大胆な業務削減、給特法等の法整備の3点が必要不可欠であると主張してきた。そうした状況の中で、専門スタッフ・外部人材の活用として要求していたスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、学力向上を目的とした学校教育活動支援、教員スクール・サポート・スタッフについては、概算要求通り予算化がされた一方、部活動指導員12,000人の要求は9,000人に留まったことや部活動手当の見直しがされたことは、学校現場の状況をふまえたものとは言えず、遺憾である。教職員等の増員がすすまない現状においては、文科省には答申素案にも記載されている業務削減を強く求めていく。
 私立大学等経常費補助、私立高等学校等経常費助成費補助等の私学助成関係予算は増額されたが、国立大学法人運営費交付金は現状維持となった。給付型奨学金予算については、18年度から本格実施した制度を安定的に実施するため、対象学生数や給付額、奨学金事務等に課題はあるものの、概算要求通り140億円が計上された。
 日教組は、引き続き、教職員定数の改善を重点として、学校現場の願いをしっかりとふまえた教育施策への転換と教育諸条件の整備を求めて、国会対策と省庁対応にとりくむ。

以上

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