談話

2020年度政府予算案の閣議決定に対する書記長談話

日本教職員組合 書記長 清水 秀行
2019年12月21日

12月20日、政府は2020年度政府予算案を閣議決定した。

政府予算案における教職員定数は、文科省が概算要求において要求した「学校における働き方改革や複雑化・困難化する教育課題に対応するため」の4,235人は実現せず、3,726人に留まった。このうちの2,000人についてはTT加配からの振り替えであり、実質の改善数は1,726人となる。

4月から小学校に新学習指導要領が導入され授業時数増に伴い教員の持ちコマ数軽減による教育の質の向上として概算要求した小学校英語専科教員1,000人は要求通り盛り込まれた。加えて、義務教育9年間を見通した指導体制への支援として専科指導教員2,201人については、要求を若干上回る数が計上されたものの、全国で約20,000校ある小学校のすべてで持ちコマ数軽減及び外国語教育の充実への対応には遠く及ばない。専科指導教員2,201人のうちの201人については、子どもが切磋琢磨できる学習環境の整備(統廃合・小規模校への支援)として計上されていることから、予算面だけの議論で学校の統廃合が推進されることがないよう注視しなければならない。中学校における生徒指導や支援体制の強化として670人が要求されていたが、100人に抑えられたことは中学校での指導の困難性が理解されておらず、学校現場の状況をふまえたものとは言えない。

日教組はこれまで、学校の長時間労働是正には、行政による大胆な業務削減、定数改善、給特法の廃止・抜本的見直しの3点が必要不可欠であると主張してきた。臨時国会における改正給特法の審議においても、業務削減と定数改善が求められ、重要視された。そうした状況の中で、文科省が求めた定数改善の概算要求が満たされなかったことは極めて遺憾である。さらに、国会審議の中でも重要視されたスクールサポートスタッフや部活動指導員等のスタッフ職の増が要求通りとならなかったことは、教職員の働き方改革への実効性に欠ける。

また、学校内すべての教室まで高速通信ネットワークの整備をするとして、概算要求時に新規事業として要求されていたGIGAスクールネットワーク構想については、19年度補正予算の2,318億円で、校内通信ネットワークの整備と児童生徒1人1台の端末の整備をおこなうこととなった。しかし、機材のメンテナンスや教材開発にかかわる人的配置については、2022年度までに4校に1人を地方財政措置で対応するとしているが、そもそも2020年度文科省予算に計上されていないことは問題である。

国立大学法人運営費交付金等は増額となったが、私立大学等経常費補助、私立高等学校等経常費助成費補助等の私学助成関係予算は減額された。奨学金予算については、対象者等に課題はあるものの高等教育の修学支援新制度(授業料等減免・給付型奨学金)の実施のため4,882億円が、高校生等への修学支援等として、私立高等学校授業料の実質無償化や高校生等奨学給付金等に要求額を上回る4,417億円が計上された。幼児教育・保育の無償化のためにも3,410億円が計上されている。

日教組は、引き続き、教職員定数の改善を重点として、学校現場の願いをしっかりとふまえた教育施策への転換と教育諸条件の整備を求め、国会対策と省庁対応にとりくむ。

以上

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