談話

文科大臣告示「給特法第7条に係る指針」に関する書記長談話

日本教職員組合 書記長 清水 秀行
2020年01月18日

本日、文科大臣は、改正給特法第7条に定めた指針を告示するとともに通知した。今後、20年4月1日法施行にむけ、自治体では条例を改正し、指針を参考に教育委員会規則で「上限方針」を制定することになる。

指針の趣旨として、学校における働き方改革が急務であるとし、業務量の適切な管理及び服務を監督する教育委員会が教育職員の健康と福祉の確保をはかるために講ずべき措置を定めるとした。なお、教育職員以外の職員については36協定における上限時間が適用されることへの留意が示されている。

勤務時間の考え方として、「超勤4項目」以外の業務については時間外勤務を命じられないが、正規の勤務時間内に行う業務と変わりはなく、「超勤4項目」以外の業務も含め時間を管理するとした。給特法が存置されたことは遺憾であるが、これまで自主的・自発的業務とされてきた「超勤4項目」以外の業務について、法令のもと勤務時間の管理体制が整備されることは一定の前進である。

指針では服務監督権者である教育委員会の責任において、客観的な方法による勤務時間の管理と記録は公文書となること、休憩時間や休日の確保、在校等時間が一定時間を超えた者への医師による面接指導、終業から始業まで一定時間以上の継続した休息時間の確保(いわゆる「勤務間インターバル」)、連続した年次休暇の取得促進、各学校の取組状況の確認と超勤抑制のための業務量の適正化および必要な環境整備などの措置を講ずべきと定めている。また、上限時間の範囲内とするために虚偽の記録をさせることや、持ち帰り業務が増えることはあってはならないとし、服務監督権者に対し、持ち帰り業務の実態把握と業務縮減を求めているが罰則等は付されておらず実効性の確保が大きな課題である。教職員のいのちと健康を守るためには、虚偽の記録を許さず、持ち帰り業務の把握と記録が必要である。

国会では、虚偽の記録や、上限時間を超え服務監督権者が適正な業務量とするよう改善を促しても改善されない場合には、懲戒の対象となり得るとの文科大臣答弁がなされている。服務監督権者・管理職への徹底した周知とともに、労働基準監督機関としての職権を行使する人事委員会(人事委員会が設置されていない場合は首長)機能の適切な執行と強化を強く求める。

この機を逃してはならない。20年4月すべての自治体での条例・規則改正、方針制定のもと、「総力戦」での学校の働き方改革の実現を図ることが必要である。そのためには、文科省・服務監督権者による業務削減、教職員定数改善、条件整備のための教育予算の拡充を強く望む。また、3年後の勤務実態調査を待つことなく、日々の客観的勤務時間の記録をもとに、給特法の廃止・抜本的見直しの議論をスタートするべきである。

日教組は、正規の勤務時間で業務が終了することを最終目標に、引き続き長時間労働是正にむけ、とりくんでいく。

以上

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