談話

40年超の美浜原発3号機の再稼働に抗議する書記長談話

日本教職員組合書記長 瀧本 司
2021年06月24日

6月23日、関西電力の美浜原発3号機が再稼働した。運転開始から40年を超えた老朽原発が再稼働するのは全国初となる。周辺住民をはじめとする県民、周辺県の反対や不安の声を無視した暴挙に断固抗議する。

12年6月の「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の改正により、原発の運転期間は使用前検査に合格した日から起算して40年とされ、1回に限り、20 年を超えない期間延長することができるとされたものの、改正当時、期間延長は「極めて例外である」と担当大臣は答弁している。また、運転に伴い中性子線にさらされ続けた圧力容器が劣化して脆くなり、急激に冷やされた際に破壊する恐れがあるなど、長期運転に伴う過酷事故のリスクは当然高まる。

19年の大阪地裁判決が示したように、基準地震動の算出に必要な地震規模の「ばらつき」を考慮していない老朽原発の耐震性には疑問が残る。また、21年3月の水戸地裁判決がその重要性を指摘した、国際原子力機関(IAEA)作成の安全基準である深層防護フレームの緊急時の計画に係る第5防護レベルを規制に取り入れていない。
 
国は発電時に温室効果ガスを排出しない原発を「脱原発社会」実現のために必要不可欠とし、30年度に原子力発電を電源構成比率の20~22%にしようとしている。経済産業省は、再稼働を容認した福井県に対して、1発電所あたり最大25億円の交付金の追加を決定しているが、国の交付金による政策誘導は住民を分断するものであり、許されるものではない。国は「脱炭素社会」を原発に頼らず、自然エネルギー政策に転換することが重要である。

日教組は「核と人類は共存できない」との立場から、経済よりも人命を優先する脱原発社会の実現をめざし、今後とも原水禁とともにとりくみを強化していく。   

以上

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