談話

映画「靖国 YASUKUNI」の上映中止に対する書記長談話

2008年04月03日

映画「靖国 YASUKUNI」の上映中止に対する書記長談話

2008年4月3日

日本教職員組合 書記長 岡本泰良

映画「靖国 YASUKUNI」の上映が中止される事態となった。街宣車による抗議行動をはじめとする圧力や近隣の劇場や商業施設に迷惑がおよぶ可能性が
生じたことなどが理由であると報道されている。またもや日本国憲法第21条で保障された「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」が圧殺された
ことは異常な事態であり、決して看過すことはできない。

日本教職員組合第57次全国教研の会場使用問題で、司法の決定に従わなかった(株)プリンスホテルの姿勢がマスコ
ミ、メディアで厳しく批判され、宿泊拒否については旅館業法違反と判断された。日本教職員組合は、こうした法令違反の事態に毅然と対応するとともに、憲法の理念が
遵守されることが重要であると訴えてきた。「集会や表現の自由」が侵され、「ものが言えない国」になることは、いつか来た道を歩むことになる。子どもたち
をそのような道に導くわけにはいかない。

今、一番非難されるべきは、異なる意見をもつ者に対して威圧的な態度をとり、理不尽な抗議や嫌がらせを続け
ている団体である。(株)プリンスホテルや上映中止に追い込まれた映画館は、商業施設とはいえ高い公共性をもっている。結果的に、圧力に屈した判断に対す
るマスコミなどの厳しい指摘や世論を真摯に受け止め、わたしたちとともに「集会や表現の自由」を守るために立ち上がることを求める。連合のはたらく仲間や
平和フォーラムなども抗議の声をあげており、これが民主主義国家における成員の責任である。

また、この映画の制作に当たって、文化庁所管法人から助成金が出ていたことが問題視され、公開前に国会議員
対象の試写会が開かれた。このようなことが上映中止につながったという見方もあり、政府は上映中止がこれ以上広がらないよう、対処すべきである。憲法の遵
守と国民の権利を守ることが国・行政に課せられた責務である。

日本教職員組合は、「集会や表現の自由」が否定されていることに対して、断固抗議するとともに、不法行為を厳しく追
及していく。また、民主的な社会を構築していくという主権者としての自覚を広く喚起し、良識ある市民の手で「集会や表現の自由」を取り戻すために、連合・
平和フォーラムなどの仲間とともに、憲法の理念・民主的な社会の実現に向けた運動に組織の総力をあげてとりくんでいく。

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