談話

「米国の中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱」に対する書記長談話

日本教職員組合 書記長 清水秀行
2019年02月08日

米国は、2月1日、ロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱を表明した。2日には、ロシアも条約義務履行停止を表明し、今後は米ロだけでなく、中国も巻き込んだ新たな軍拡競争へと発展する恐れがある。日教組は、核兵器の廃絶という人類共通の目標の実現のためとりくんできた立場から、米国の行動に強く抗議する。

INF全廃条約は、1987年に米ロ(旧ソビエト社会主義共和国連邦)両国間で結ばれた中距離ミサイルに特化された二国間条約である。同条約は、1991年までに両国合わせて2,692基のミサイルが廃棄されるなど、世界の核軍縮の流れをつくり、冷戦終結に貢献してきた。トランプ政権は、2018年2月に「爆発力の小さい核兵器の開発」など柔軟かつ多様な核戦力の必要性を打ち出した「核態勢見直し(NPR)」を発表している。これに加え、今回の条約の破棄はオバマ政権の掲げていた「核なき世界」への構想から大きく後退することになる。

日本政府は、唯一の戦争被爆国としての国際社会での役割を自覚し、米ロ両国の対話と協調をはかり、核軍縮と核不拡散にむけ条約の維持と拡大をはかるための努力を怠ってはならない。日教組は日本政府に対し、核兵器廃絶のとりくみの先頭に立ち、条約の維持に努めるよう強く求める。

日教組は「核と人類は共存できない」として、原水禁・平和フォーラムとともに運動をすすめてきた。引き続き、核兵器によるヒロシマ・ナガサキの惨劇を二度と繰り返してはならないことを訴え、「非人道的兵器である核兵器の廃絶」という人類共通の目標実現のため、NPT体制の強化と国際社会の一致した行動を求めて幅広い世論喚起等に継続的にとりくんでいく。

以 上

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