談話

「辺野古新基地建設の賛否を問う沖縄県民投票の結果」に対する書記長談話

日本教職員組合 書記長 清水 秀行
2019年03月01日

2月24日、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設の賛否を問う県民投票が行われた。当初は実施しないとした自治体も投票権を求める市民の声に押され、三択に選択肢を広げた県民投票条例改正案では賛成に回った。市民の声が全市町村での実施を可能にしたのである。結果は、「反対」が43万4,273票となり、実に投票者の72.15%と圧倒的多数を占めた。投票率が52.48%に達する中、7割を超える反対票が投じられたことは、基地問題の根本的な解決を望む県民の多さを表している。これまでも沖縄は、2014年、2018年の2度の知事選や国政選挙を通じて、新基地建設反対の意思を表している。しかし、辺野古の問題を巡って国と沖縄県が争った裁判では、2016年の福岡高裁那覇支部判決で、知事選は基地問題だけを争点としたものではないとされ、「民意は明らかではない」と判断された。それだけに「辺野古新基地建設」の是非を問い、沖縄県民全体の意思が示された今回の投票結果のもつ意義は大きい。安倍政権は、今度こそ沖縄が出した答えに真摯にむき合わなくてはならない。

しかし、安倍首相は「投票の結果を真摯に受け止める」と述べた翌日の25日にも、沖縄県民の反対の意思を無視する形で埋め立て工事を続行している。政府は「普天間基地の危険性除去」のために「辺野古が唯一の解決策」とし、「普天間か辺野古か」の二者択一を沖縄に迫っている。米国との安全保障の必要性のみを強調し、特定の自治体に負担を強い続けるやり方は、民主主義と地方自治を破壊し、憲法95条にも反する行為である。また、埋め立て海域の軟弱地盤などの問題も浮かび、沖縄県の試算では大規模な難工事で総事業費は当初の予算の10倍の2兆5,500億円に上る可能性も指摘されている。政府はこうした疑問に対しても納得のいく説明を行っていない。

2月末には2回目の米朝首脳会談が開催されるなど、朝鮮半島の非核化と平和の実現にむけた努力が続けられている。辺野古新基地建設はその必要性自体も問われており、アジアの緊張緩和の流れにも逆行しているといわざるを得ず、全く容認できるものではない。

日教組は、「教え子を再び戦場に送るな!」のスローガンのもと、引き続き安倍政権がすすめる辺野古への新基地建設に断固反対するとともに、世界で最も危険と言われている普天間基地の早期返還、在日米軍基地の縮小・撤去と日米地位協定の抜本的改定にむけたとりくみを、平和フォーラムとともにすすめていく。

以上

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