談話

東京朝鮮中高級学校「無償化」裁判の東京地裁判決に対する書記長談話

日本教職員組合 書記長 清水 秀行
2017年09月15日

9月13日、東京朝鮮中高級学校の卒業生が提訴した「無償化」裁判の判決が、東京地裁(田中一彦裁判長)で言い渡された。

裁判長は、国が朝鮮学校を「無償化」から除外した理由として、「国が適正な学校運営だと十分な確証を得られないとした下村文科相(当時)の判断は、不合理とまではいえない。裁量権の逸脱や乱用は認められない」とした。また、「文科相の定例記者会見での発言などは個別の処分について発言したものではなく、不指定が政治的外交的理由でなされたとは言えない」とし、国家賠償、指定処分取り消し、指定義務づけなど原告側の請求をすべて却下した。国側の主張を追認する極めて不当な判決である。
さらに、国側が主張する朝鮮学校と在日本朝鮮人総連合会、朝鮮民主主義人民共和国との密接な関係については、「公安調査庁や警察庁は、在日本朝鮮人総連合会が朝鮮学校に影響を及ぼしているとしており、これらの情報には一定の信頼が置ける」とした。
そもそも外交問題などを理由に朝鮮学校の生徒を無償化の対象から除外することは、すべての子どもに教育の機会を保障した国際人権A規約(13条の1)に反し、日本国憲法第26条、教育基本法の理念に照らしても問題である。適用除外は「全ての意志ある高校生等が、安心して勉学に打ち込める社会をつくる」という制度の趣旨から外れているだけではなく、明らかな人権侵害である。

7月28日、大阪朝鮮学園の生徒・卒業生が提訴した「無償化」裁判では、国が行った朝鮮高校を無償化から除外する目的での文部省令改正を「違法、無効と解すべき」とし、「除外は違法である」とし、原告全面勝利の判決を行った。しかし、今回の東京地裁判決は、7月19日の広島朝鮮学園などが広島地裁に起こした同様の訴訟での判決を追随する不当な内容で、決して容認できない。

日教組は、今回の東京地裁判決に強く抗議するとともに、引き続きすべての子どもに教育の機会を保障するために、平和フォーラム等とともにとりくみをすすめていく。

以上

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