• ホーム
  • 声明・談話
  • 談話
  • 中教審「学校における働き方改革特別部会」答申素案と文科省「勤務時間の上限に関するガイドライン(案)」に対する書記長談話

談話

中教審「学校における働き方改革特別部会」答申素案と文科省「勤務時間の上限に関するガイドライン(案)」に対する書記長談話

日本教職員組合 書記長 清水 秀行
2018年12月06日

 第20回中教審「学校における働き方改革」特別部会において、「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について答申素案(以下:答申素案)」並びに「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)(以下:ガイドライン)」が示された。
 日教組はこれまで、給特法体制下における自主的・自発的業務としてサービス残業を強いられている過酷な学校現場の実態の解消を求め給特法の廃止もしくは抜本的見直しを求めてきた。しかし答申素案における給特法への言及は、給特法の制度の維持を前提に教職調整額の水準を中長期的に検討するに留まっており、教員の切なる願いを顧みない極めて不十分なものと言わざるを得ない。
 ガイドラインは、「超勤4項目」以外の「自主的・自発的勤務」についても時間管理のもと抑制するとしている。長時間労働を是正する上では、当然の措置ではあるが、その実効性が課題となる。さらに「特例的な扱い」が設けられたことで上限規制の抜け道となることを懸念する。
 答申素案には「一年単位の変形労働時間制」の導入が盛り込まれている。労基法においては、労使協定を前提に1日10時間を上限とし、それを超える場合は時間外勤務手当の支給によって歯止めを掛けている。労基法の趣旨を没却する答申素案は、現状の長時間労働を追認するものであり、根本的な是正策とはなり得ず容認できない。答申素案においても「毎日の業務の在り方を徹底的に見直しその縮減を図ることを前提」との記載もあることから、先ずは「一年単位の変形労働時間制」の検討以前に、文科省による大幅な業務削減がすすめられるべきである。
 日教組が実施した「学校現場の働き方改革に関する意識調査」では、学校内の勤務時間も、自宅での仕事時間も「変わらなかった」が過半数となり、「増加した」が3割弱を占めた。また、教職員の多忙化解消のために必要なとりくみとして、「教職員数の定数増」が8割を超えている。教員一人あたりの持ち授業数の上限規制と事務作業等を軽減するためにも教職員定数の改善計画が求められる。さらに文科省による標準授業時数の位置づけの見直しと、授業の一単位時間の弾力化を早急に行うなど教員の負担についても大胆に軽減すべきである。
 日教組は、引き続き、すべての教職員の命と健康を守るため実効性のある長時間労働是正策を求めていく。また、そのことによって子どもが安心して学べる環境を担保し、子どもの権利の保障につなげていくとの決意のもととりくみを強化していく。
                                             以上

pagetop