談話

「2021年度文部科学省概算要求」に関する書記長談話

日本教職員組合書記長 瀧本 司
2020年09月30日

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、例年より1か月遅れの提出となっていた概算要求を、文科省は9月29日に公表した。
教職員定数については、「学校における働き方改革、小学校専科指導の充実として、2021年度分は2,397人(加配定数2,000人+基礎定数397人)増の要求をしている。加配定数の2,000人については、今年度に引き続き、指導方法工夫改善定数のうち専科指導への配置見直しである。また、「少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備」として、少人数学級を見据えた予算については、金額を明示しない事項要求とした。少人数学級を事項要求したことは評価できるものの、少人数職種の改善が要求されていないなど学校現場の状況を十分ふまえたものとはなっていない。
補正予算において追加措置された学習指導員、スクール・サポート・スタッフについては大規模配置が継続された。とりわけ、スクール・サポート・スタッフについては、今年度当初予算(19億円)と2次補正予算(38億円)を大きく上回る要求(108億円)となっており、消毒業務等の感染症対応の業務が負荷され労働時間は増大している中、日教組が要求してきた人的配置が一定反映されたといえる。また、学校における感染症対策の充実として「感染症対策のための衛生環境整備支援事業」「特別支援学校スクールバス感染症対策支援事業」等も継続された。
GIGAスクール関連予算として、新たに「GIGAスクールサポーター」を4校に1人配置する予算を計上した。しかし、1校に1人の配置は必要であり、今後もさらなる増員を求めていく必要がある。また、高校生等を対象とした「一人1台端末」は、私費負担の軽減の観点からも早急な予算化が必要である。
現在、学校は従来からの膨大な業務と慢性的な人員不足による長時間労働に加え、新型コロナウイルス感染症対策によって一層疲弊している。今回の概算要求は、特に学校の働き方改革の観点からは最低限の内容であり、事項要求である少人数学級についても早急な対応が求められる。今後、政府として疲弊している学校現場・教職員に対して明確なメッセージを示すためにも、定数改善等に充分に予算措置をすべきである。
日教組は、引き続き、子どもたちへのゆたかな学びの保障、学校における働き方改革、感染症対策を含めた持続可能な学校教育の実現にむけ、教職員定数の改善や少人数学級の実現、教育予算の拡充などの学校現場の願いをしっかりとふまえた教育諸条件の整備を求めてとりくみを強化する。
以上

pagetop