談話

幼稚園教育要領および小学校・中学校学習指導要領告示に対する書記長談話

日本教職員組合 書記長 清水 秀行
2017年03月31日

本日、文部科学省は、幼稚園教育要領および小学校・中学校学習指導要領を告示した。「改定案」に対するパブリック・コメントは、11,210件の意見が出され、135件の修正が加えられた。わずか2週間で1万件を超える国民からの意見を十分に検討するには拙速である。

告示された内容は、改定案で示された「資質・能力」論に特化された目標と「質」も「量」も求める教育内容となっている。さらに、社会科における聖徳太子などの用語の取り扱いの変更、中学校家庭科の内容に「介護」を明記、中学校体育における武道に「銃剣道」が明示された。
「銃剣道」については、国体種目を理由としているが、中学校現場で実施されている例は極少であり、最終段階で急遽変更する根拠としては乏しいと言わざるを得ない。

教育内容の精選なしに「主体的・対話的で深い学び」の重視、外国語の早期化・教科化、部活動と教育課程の関連付け等が示されたことにより、子どもの負担が増加し教職員の多忙化に拍車がかかることは明白である。学びが得点や順位を重視した「点数学力」に特化されたものになり、学ぶ楽しさが損なわれることにならないか危惧される。

文科省は、小学校の外国語導入による時数増への批判に対して、移行期間中の措置として総合的な学習の時間を英語に充てる方策等を検討するとしている。移行期間中の一時的な手段であり根本的な解決策ではなく、内容の精選・厳選や授業時数の削減こそが求められている。完全実施までに、現場実態をふまえた総合的・抜本的な制度改革と教職員定数増等の条件整備が十分なされることが必要である。

日教組は、引き続き、子ども・地域の実態に即したカリキュラムづくりが可能となる教育施策・条件整備を求めるとともに、教育現場でのさらなる弾力的運用等が可能となるようとりくみをすすめていく。また、保護者・地域住民とともに子どもたちに「ゆたかな学び」を保障していくために、子ども・地域の実態に応じた創意工夫ある教育実践にとりくんでいく。
以上

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