談話

「日本政府の核兵器禁止条約交渉への不参加表明」に対する書記長談話

日本教職員組合 書記長 清水 秀行
2017年03月31日

日本の高見沢将林軍縮大使は27日、国連本部の核兵器禁止条約交渉会議で演説し、交渉には核兵器保有国が加わっておらず、「建設的かつ誠実に参加することは困難」と述べ、今後の会議への不参加を表明した。また、岸田文雄外務大臣は「核保有国と非核保有国の対立を深め、逆効果になりかねない」と不参加の理由を述べたが、米国をはじめとした核保有国の圧力に屈し、外交努力を放棄するものである。

被爆者代表として交渉会議に参加した日本原水爆被害者団体協議会団体協議会(日本被団協)の藤森俊希事務局長は交渉会議で演説し、広島での被爆体験を語った。「同じ地獄をどの国の誰にも絶対に再現してはならない」と訴え、法的拘束力のある条約の成立と発効を訴えた。また、日本政府が交渉会議への不参加を表明したことに対し、「とても賛同できない」と不満を表明した。

核兵器を「非人道的」とし、使用や保有を法的に禁じるのが交渉の目的である。唯一の戦争被爆国であり、核保有国と非核保有国の「橋渡し役」を行うべき日本政府がその機会を自ら放棄することは到底認めることはできない。広島、長崎の被爆者の想いを踏みにじり、多くの国民の思いを裏切る行為である。対立が深まっている今こそ核廃絶論議をリードし、溝を埋める役割を果たすことが求められている。

日本は、核兵器保有国に対して「核兵器禁止条約」の早期締結にむけた交渉に参加するよう呼びかける立場に立つべきである。核に依存した安全保障からの脱却をめざす立場を確立し、核廃絶へすすむ主導権をとり積極的な役割を果たすとともに、交渉会議への不参加表明をただちに撤回することを強く求める。
 

以上

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