談話

伊方原発3号機の再稼働に抗議する書記長談話

日本教職員組合書記長 瀧本 司
2021年12月13日

 12月2日、四国電力の伊方原発3号機が再稼働した。伊方原発を巡っては、17年と20年に広島高裁が運転を差し止める決定をし、20年1月には核燃料の反応を抑える制御棒を誤って引き上げる、同年7月には職員の保安規定違反が発覚する等のトラブルが相次いでいる。住民の四国電力や伊方原発に対する不安や不信を置き去りにしたまま、様々な課題を解決せずに再稼働に踏み切ることは、住民の命と暮らしを蔑ろにする行為であり、断固抗議する。
 20年1月、広島高裁は伊方原発沖合の活断層がある可能性、阿蘇山の噴火による火砕流や火山灰の影響を考慮し、運転を差し止める決定を下している。伊方原発の敷地2キロ以内に活断層がなく、火山灰の影響が高くないこと等四国電力の主張を鵜呑みにし、21年3月に差し止め決定は取り消された。しかし、伊方原発の近くに国内最大規模の断層帯である「中央構造線」が存在し、気象庁は、南海トラフ地震が発生した際、伊方原発付近に震度6以上の強い揺れや10メートルを超える大津波の可能性を指摘している。
また、伊方原発は佐田岬半島の付け根にあるため、避難の際に陸路を使用するには原発の近くを通るしかなく、津波や悪天候では豊後水道の使用が困難であり、避難計画が実行できない可能性がある。
さらにたまり続ける使用済核燃料の処理についての課題も払拭されていない。一時保管のプールには1383体の使用済核燃料があるが、運び出す時期は決まっていないだけでなく、あと数年で満杯となる。
これだけの課題があるにもかかわらず再稼働することは、原発のリスクを住民に押しつけ、生活の安全を蔑ろにするものであり、原発の安全性に絶対はないという福島の現実を顧みない全く無責任な判断と言わざるを得ない。国は、核燃料サイクル計画が事実上破綻している現実を直視し、「脱炭素社会」を原発に頼らず、エネルギー基本計画を見直し、自然エネルギー政策に転換するべきである。
日教組は「核と人類は共存できない」との立場から、伊方原発の即時停止を求めるとともに、すべての原発の再稼働中止と再処理からの撤退、核廃棄物の安全な処理の促進、再生可能エネルギー政策への転換など脱原発社会実現へむけたとりくみをより一層すすめるため、今後とも原水禁・平和フォーラムとともにとりくみを強化していく。

以上

pagetop