談話

「働き方改革実行計画」についての書記長談話

日本教職員組合 書記長  清水 秀行
2017年03月31日

政府は、3月28日、「働き方改革実行計画」を決定した。そのなかで、長時間労働是正に関しては、時間外労働への罰則付き上限を導入できるよう法改正をすすめることとした。具体的には、週40時間を超えて労働可能となる時間外労働の限度を、原則として、月45時間、かつ、年間360時間となっている。特例として、労使が合意して協定を結ぶ場合においても、時間外労働は年間720時間(=月平均60時間)を上回ることはできず、さらに2~6か月の平均は80時間以内、単月では100時間未満、時間外労働が月45時間を上回るのは年6回までとした。
さらに、現行規制で、36協定で定める時間外労働の特例条項の適用除外となっている自動車の運転業務や建設業、医師への適用は、改正法施行から5年間の猶予はあるものの、上限規制を設けることとなった。また、研究職は適用除外となったが、代替休暇の付与などを措置することとした。
一方、週あたり60時間以上働く者の割合があらゆる業種を通じて最も高い教員については、「働き方改革実行計画」で時間外労働の上限規制を設けることについて一切触れられることはなかった。上限規制の枠外という扱いにし、各教委による業務改善の加速化、部活動指導の適正化、教育再生実行会議において教員の働き方・業務の在り方について検討を行うとなった。これらは、従来から検討されている施策の延長線に位置づけられるものであり、長時間労働の根本的な規制をめざす施策ではない。
日教組は、この間、連合を通じて「働き方改革実現会議」に教職員の長時間労働の実態解消をはかるよう意見反映をしてきた。しかし、現場の実態や教職員の切実な要望が、今回の「改革の枠外」に置かれたことは、極めて遺憾である。松野文部科学大臣が3月22日の参議院文教科学委員会において、教職員の長時間労働が今のままの状況では、日本の教育水準の維持について持続可能性は難しいと述べているように、この問題は、労働問題だけではなく、教育問題と位置づけられる必要がある。
日教組は、引き続き2月27日に公表した長時間労働是正にむけた「緊急政策提言」の実現をめざした社会的対話の促進、法令等に沿った勤務時間の適正な把握などの「長時間労働是正キャンペーン」に組織の総力をあげてとりくんでいく。

以上

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