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談話

「大阪高裁の高浜原発3、4号機の運転差し止めの仮処分取り消し」に対する書記長談話

日本教職員組合 書記長  清水 秀行
2017年03月31日

関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転差し止めを認めた大津地裁の仮処分決定をめぐり、大阪高裁(山下郁夫裁判長)は、28日、運転再開を求めて保全抗告していた関電側の訴えを認め、大津地裁が出した運転差し止め仮処分を取り消す決定をした。司法裁判にもとづき初めて運転を差し止めされた原発が、今回の決定を受け再稼働が可能な状態となった。

大阪高裁は、国が東電福島第一原発事故後に定めた新規制規準について、「新基準自体に合理性がないことは住民側が立証する必要はある」と関電の主張を受け入れる判断をし、「現在の科学技術水準を踏まえた合理的なもの」と評価した。また、原発の安全性について、大津地裁段階では関電は立証不足を指摘されたが、高裁では、耐震性能、津波に対する安全性能についても「相当の根拠および資料にもとづいて安全性を疎明した」とした。さらに、国や地方公共団体、自衛隊などが避難計画について役割をとりまとめていることを挙げ、「いまだ改善の余地がある」としながらも、「取り組みや姿勢や具体的内容は適切」と述べ、対策に不合理な点はないとした。
原子力規制委員会は、新規制基準は「最低限の条件」であり、基準を満たしても「安全とは言わない」と表明してきた。新規制基準を絶対視する高裁の司法判断を認めることはできない。また、高裁が、避難計画を規制対象にしていないことも合理的と言い切っていることは、住民の安全といのちを守る視点が完全に欠如していると言わざるとえない。

高裁は、安全性は欠けておらず人格権侵害を判断するまでもないとし、申請そのものに「理由がない」としているが、決定は、ほぼ関電の主張に沿う判断であり、民意を無視したものである。原発の安全性に絶対はないという福島の現実を顧みない無責任な判断と言わざるを得ない。住民のいのちと暮らしを危険に晒す判断に断固抗議する。

東日本大震災・東電福島第一原発事故から6年が経過したが、除染廃棄物の処理や廃炉作業も困難を極め、原子炉そのものは手つかずにある中で、被災地の復興は極めて厳しい状況にある。被災者の要求にもとづいた支援の継続も徐々に打ち切られようとしている。脱原発は国民の多くの声であり、政府は、原発推進に固執する姿勢を早急に転換すべきである。
 
日教組は、「核と人類は共存できない」との立場で、経済よりも人命を優先する脱原発社会の実現をめざし、今後も平和フォーラム・原水禁とともにとりくみを強化していく。

以上         

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