談話

「2020年度補正予算」成立に関する書記長談話

日本教職員組合 書記長 瀧本 司
2020年05月01日

4月30日、新型コロナウイルス感染症への対応をもりこんだ歳出総額25兆6,914億円の2020年度政府補正予算が成立した。
経済活動は生活のためには重要である。しかし、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せず、感染、治癒への不安が払しょくされない中、最優先されるべきはすべての人々の命と健康である。その上で、生活を支えるための大規模な財政出動のもと、政府はスピード感をもって感染拡大防止にむかうべきである。
補正予算における文部科学関係では、2023年度に達成を計画していた子ども一人ひとりへのタブレット等端末整備(「GIGAスクール構想」)を2,292億円の予算で加速させることとなった。長期化する臨時休業期間において、遠隔学習が「学びの保障」の有効なツールの一つとされているが、地域の状況も大きく違い、現場で十分に活用するには準備不足は否めない。さらに拙速な導入による学校教育への影響についても考慮されなければならない。また、機材のメンテナンス、教材開発にかかわる人的配置等、運用上必要とされる予算確保も同時にすすめられなければならない。
学校再開にともなっては、感染症対策のためのマスク等購入支援として133億円、未指導分の補習等のための支援として8億円、修学旅行の中止や延期にともなう追加的支援として6億円が予算化された。
学校を感染経路とさせないために、学校現場における労働安全衛生体制の確立は当然なことであり、さらには、子ども、教職員用のマスクをはじめ、学校規模に応じた消毒薬、非接触体温計等の保健衛生用品の配備は欠かせない。これらが購入困難な状況にある中、開校から新型コロナウイルス感染の収束に至るまでの期間、現物支給により学校の安心・安全を確保する必要がある。
未指導分の補習等に学習指導員が追加配置されるが、「つめこみ」を助長せず、柔軟な活用のもと長期にわたる配置とさらなる増員が必要となる。また、感染症の影響によらず「欠員」状況にある学校の教職員を充足させるべく、文科省には臨時教員免許の要件緩和を求める。その上で学校現場の「三密」を解消するために教職員の加配措置を早急に検討すべきである。
修学旅行の「キャンセル料」等が予算措置されているものの、対象期間が限定的であり十分とは言えない。感染症の影響による保護者負担への全面的な支援策を求める。
日教組は、新型コロナウイルス感染症の対応として、子ども、教職員の命と健康を守り、学校の安心・安全を確保するために、学校を感染経路とさせず、子ども一人ひとりにきめこまやかに対応するためのさらなる大胆な財政支援、条件整備を求め国会対策と省庁対応にとりくむ。
以上

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