談話

「2021年度政府予算案・第3次補正予算」の閣議決定に対する書記長談話

日本教職員組合書記長 瀧本 司
2020年12月21日

本日、政府は2021年度政府予算案を閣議決定した。
教職員定数の改善については、小学校における35人学級の実施に関連して744人の改善をはじめとして、専科指導への加配の振り替えや通級指導等の基礎定数化に伴う増を含め合計で3,141人の改善となる。一方、教職員定数の合理化減や加配振替分を合計すると3,615人となることから、来年度も実質の教職員数は減となっている。改めて35人学級の実現については、加配の振り替えによらない実質増と高校まで法改正を求める。また、働き方改革として教員の持ちコマ数軽減による教育の質の向上を行うため2,000人の改善がはかられているが、小学校専科の充実に留まっており不十分である。
補習等のための指導員等派遣事業については、学習指導員(3,000人増:20年度当初予算比 以降同様)、スクール・サポート・スタッフ(5,000人増)、中学校における部活動指導員(600人増)となっており、今年度の当初予算より増額はされているものの、ゆたかな学びの保障、収束が見えない新型コロナウイルス感染症対策への対応や、部活動改革をはじめとしたさらなる働き方改革の推進にむけて、人員の確保を含め、今後も学校現場の現状をふまえた対応が必要になる。
新型コロナウイルス感染症拡大にともない、心の健康・心のケアや様々な課題を抱える児童生徒への早期支援としてスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについてはいじめ・不登校・虐待への対応として昨年度予算よりも重点配置を増員(各1,500校)された。概算要求時よりも減額されており、様々な課題を抱える学校現場の状況を踏まえると、さらなる相談体制の充実も求められる。
GIGAスクール構想については、サポーターの新規配置や環境整備等の経費が計上されているが、本格的に動き始める来年度以降、学校現場の課題を十分に反映した体制の構築や予算配分がすすめられるべきである。
また、先日閣議決定された第3次補正予算では、「学校の感染症対策等支援」として、小・中・高・特別支援学校では80万円から240万円程度の支援金が、幼稚園にも30万円から50万円が支援金として支給される。第2次補正予算に続くもので、冬季における必要な対策や継続的に必要な保健衛生用品、教室等の消毒作業の外注するための経費等に学校裁量予算として学校ごとによって感染症への対策に対応ができる。さらに、教職員研修等支援として自主研修の経費についても支援がされることは評価できる。GIGAスクール構想については、低所得世帯等の高校生へのPC端末整備費の支援が決まった。教育費の家庭負担軽減のためには、所得制限することなく計画的に支援策を講じることが急務である。
日教組は、引き続き、教職員定数の改善を重点として、学校現場の願いをしっかりとふまえた教育施策への転換と教育諸条件の整備を求めて、国会対策と省庁対応にとりくむ。
以上

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