談話

「小学校35人以下学級」に関する書記長談話

日本教職員組合書記長 瀧本 司
2020年12月17日

本日、萩生田文科大臣と麻生財務大臣による大臣折衝が行われ、文科省が概算要求において「少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備」として事項要求していた予算について、小学校の学級編制基準を一律35人に引き下げることで合意された。2011年度に小学校1年生が35人学級となったものの、一律の引き下げは約40年ぶりである。来年度に小学校2年生を35人学級とし、その後、学年ごとに順次引き下げ、2025年度に6年生が35人学級となる。教職員定数の改善総数は1万4千人と見込まれており、学級編制基準を定めた義務標準法改正案が年明けの通常国会に提出される。
現在、小学校2年生については、すでに加配措置により35人学級が実施されており、来年度については、加配措置された人数を基礎定数として振り替えることで対応される。22年度からの小学校3年生以上については、加配定数のうち、3,000人を基礎定数に振り替えるとしている。加配定数を基礎定数に振り替えることで、都道府県などはより計画的に教職員を採用できるようになるものの、小学校での専科指導や複数指導など、従来から行われてきた指導の工夫改善が十分実施できなくなることが危惧される。
日教組は、これまで少人数学級の実現にむけ、文科省要請、財務省要請、地方3団体要請、政党要請、単組による地方議会での意見書採択や国会議員要請等にとりくんできた。40年ぶりとなる小学校学級編制基準の一律引き下げの実現は、その効果を疑問視してきた財務省の動き等を考えると、一定の評価はできるものの、小学校のみの35人学級では不十分であり、20人以下学級にむけ計画的な改善が早急に必要である。さらに、従来の指導改善が十分できるような加配措置も必要である。次期通常国会における義務標準定数法の確実な改正を求めるとともに、引き続き、子どもたちへのゆたかな学びの保障、学校における働き方改革、持続可能な学校教育の実現にむけ、高校までのさらなる少人数学級の実現や持ち授業時数の上限規制のための定数改善にむけとりくみを強化する。
以上

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