談話

過労死等防止対策大綱改正にかかわる書記長談話

日本教職員組合書記長 清水 秀行
2018年07月24日

「過労死等の防止のための対策に関する大綱(改正案)」(以下、「大綱」)が、7月24日、閣議決定された。これは、15年7月に閣議決定された大綱において、社会経済情勢や過労死等をめぐる諸情勢の変化、大綱に基づく対策の推進状況等、また、法附則第2項に基づく検討の状況などをふまえ、おおむね3年を目途に必要があると認めるときに見直しを行うとされたことによる。
改正にあたっては、使用者・労働者の代表者、過労死等遺族の代表者、有識者で構成する過労死等防止対策推進協議会において、大綱の見直し等について議論してきた。大綱では防止対策の重点職種として教職員・医療従事者が明記されている。「教職員の長時間勤務是正にむけたとりくみを着実に実施していく」などが記載されたことは、日教組のこれまでの社会的対話、社会的発信等の成果であり、評価できる。しかし、6月末可決・成立した勤務時間の上限規制を含む働き方改革関連法には教員は含まれておらず、今後文科省から法に沿った数値での勤務時間のガイドラインが出されのみである。

文科省、教員勤務実態調査(16年実施)で明らかになったように、多くの教員が月80時間以上の過労死ラインを超えている。一方、地方公務員災害補償基金によると、16年度の教職員の公務上死亡災害認定は8人でそのうち公務に起因する脳疾患・心疾患・精神疾患での死亡は5人となっている。しかし、正確な勤務時間記録がないことや自宅での持ち帰り仕事について量や質を客観的に評価できない、過重な業務であるにもかかわらず時間外勤務のほとんどが本務とみなされない等により、公務災害認定申請をしても認定されない事案が何倍もあるのが実態である。

過重な労働により、尊い命や心身の健康を損なうことは決してあってはならない。過労死に至る前に勤務環境を改善することが重要である。大綱による対策の確実な実行が求められる。学校においては業務の削減やタイムカードやICTなどによる客観的勤務時間の管理と、労働安全衛生法を遵守し安全衛生体制の機能強化はかることや、ストレスチェック制度を活かした医師による面談やメンタルヘルスの推進、業務の調整など行っていくことが必要である。
 
以上

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