談話

文科省「教員勤務実態調査」公表に係る書記長談話

日本教職員組合 書記長 清水 秀行
2017年04月28日

本日、文科省は16年度に実施した教員勤務実態調査の速報値を公表した。

調査結果では、持ち帰り業務を含めた1日あたりの勤務時間について、小学校は平日11時間45分(06年度調査11時間10分)、休日2時間15分(同1時間45分)、中学校は平日11時間52分(同11時間23分)、休日4時間33分(同3時間12分)となっている。

今回の調査結果を1ヶ月あたりに換算すると、時間外勤務時間数は、厚労省が過労死の労災認定の目安としている月80時間を平均値で優に超えることになり、教員の勤務実態は限界に達していると言わざるを得ない。

それにもかかわらず、次期学習指導要領では外国語教育の早期化・教科化、小学校におけるプログラミング教育の導入、「特別の教科 道徳」などが本格的に実施されることになっており、教職員の時間外勤務がさらに増大することは予想に難くない。

06年調査以降、文科省・各教委は、業務改善をすすめれば「子どもと向き合う時間が確保」され、なおかつ長時間労働の解消につながるとしてきた。しかし、前回調査と比較して授業や部活動など「子どもと向き合う時間」は確保されたものの、勤務時間全体は増加していることを考えると、業務改善だけでは長時間労働是正につながらないことが明確になった。

教員が疲弊しきっている状況は、子どもたちが安心して学ぶ環境へ悪影響を与えるものであることは想像に難くない。

文科省・教委、教育関係者は、今回の調査が示す事実を虚心に受け止め、直ちに抜本的な改革をすべきである。

日教組はこの間、連合総研報告書をふまえた緊急政策提言をもとに、民間をはじめ広範な人々に教職員の長時間労働是正を訴えてきた。その中で届けられたのは、教職員の労働環境の厳しさに加え、日本の教育の行く末を憂う声である。

日教組は、教職員の長時間労働を是正して命と健康を大切にする職場環境をつくることが、持続可能な教育の実現につながるとの確信を持って、胸襟を開き、幅広い方々と社会的対話を続けていく。

        以上    

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