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談話

特別支援学校幼稚部教育要領、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の告示に対する書記長談話

日本教職員組合 書記長 清水 秀行
2017年04月28日

文科省は、特別支援学校幼稚部教育要領、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を告示した。その内容は、3月に告示された学習指導要領等と同様であり、大綱的基準であるにもかかわらず、「資質・能力」論に特化した目標を盛り込み、「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」までを規定している。「質」も「量」も求めることで子どもにさらなる負担を強いるものである。
  
今回の改訂は、国連障害者権利条約の批准、障害者差別解消法の施行後、初めてである。医学的基準で対象者を限定する「医学モデル」から、障壁を社会で軽減する「社会モデル」へと障害観を転換しなければならないにもかかわらず、「障害による学習上・生活上の困難を改善・克服」が依然として強調されていることは、条約や法律の理念に逆行するものである。

パブリックコメントを経て、障害による困難さを個人の努力によって改善させようとする記載が、子どもの状況に配慮した表記に一部改善された。しかし、本来、地域で共に学ぶことは権利であるにもかかわらず、文科省が示す「資質・能力」を前提に、地域で学ぶ権利すら制約しようとしていることは問題である。

「個別の教育支援計画」が幼稚部でも義務化された。作成に際しては、子ども・保護者の立場に立ち、話し合いながらともに作成すべきである。また、個別指導の重要性が強調されているが、子どもどうしや多くの人とのかかわりの中での学びこそ、重要であることを忘れてはならない。
 
日教組は、学習指導要領の実施にあたっては、子ども・地域の実態に即したカリキュラムづくりが可能となる教育施策・条件整備を求めるとともに、教育現場でのさらなる弾力的運用等が可能となるようとりくみをすすめていく。また、「社会モデル」への障害観の転換をめざして、誰も排除しない、誰もが共に学べるインクルーシブな学校づくりにむけてとりくんでいく。

以上

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