談話

朝鮮民主主義人民共和国によるミサイル発射に対する書記長談話

日本教職員組合 書記長 清水 秀行
2017年08月31日

 8月29日午前5時57分頃、朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)は、首都平壌の近郊から、中距離弾道ミサイル「火星12」を発射した。ミサイルは、日本海から渡島半島・襟裳岬上空を通過し、襟裳岬東方沖の太平洋上に落下した。2017年に入ってからのミサイル発射は13回にも及び、日本上空を通過したのは2016年2月以来5回目となる。日教組は、国連安全保障理事会決議に違反し、東アジアのみならず世界の平和を脅かす北朝鮮政府に対し強く抗議する。同時に、米国及び韓国政府に対して、米韓合同軍事演習を中止し、米朝対話、南北対話の即時開始を求める。

 経済制裁や軍事的圧力で北朝鮮を翻意させることはもはや困難であると言わざるを得ない。米国や日本政府は、北朝鮮の核兵器放棄を対話開始の条件としているが、世界最大の核保有国とその核の抑止力に頼む日本政府の姿勢は、全く説得力に欠けている。核兵器禁止条約にさえ同意しようとしない米国及び日本政府自身の立場が厳しく問われている。日本政府が政策転換を国際社会に表明し、東アジアの対話の道を開くことが、日本の安全保障につながる。

 北朝鮮のミサイル発射に際して、12道県に全国瞬時警報システム(Jアラート)が発信された。これまで、各自治体や鉄道会社等が、ミサイル発射に伴って過剰な反応を繰り返してきた。教育現場においても効果の疑われる避難訓練を実施している。過剰な反応を煽りたてることは止めるべきである。また、歴史的経過の中で、日本社会で生活してきた在日朝鮮人への差別が懸念される。日本国憲法の示す平和と民主主義、基本的人権を土台として、多くの人々が努力してきた多文化・多民族共生の理念に照らし、私たちは冷静に対応していかなくてはならない。

 日教組は、平和フォーラムとともに、理解と信頼にもとづいた対話と協調による平和の構築をめざし、何をすべきか真摯に議論することを強く求める。
 
 

                               以 上

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