談話

女川原発2号機の再稼働容認に抗議する書記長談話

日本教職員組合書記長 瀧本 司
2020年11月13日

11月12日、東北電力女川原子力発電所2号機について宮城県の村井知事は、再稼働の前提となる地元合意を表明した。これは、11日に宮城県知事、女川町長、石巻市長の三者会談が行われ、三者が再稼働を了承することで合意したことを受けたものである。東電福島第一原発事故の現実を直視せず、住民の命と暮らしを危険に晒す原発再稼働決定の撤回を求める。
 宮城県議会では10月に再稼働賛成の請願を採択する形で容認したが、2号機の再稼働に係る県民の声は賛成23%に対して反対が74%(河北新報)と圧倒的に多数であり、県議会が県民の声を反映しているとは言えない。
 石巻市長は、「安全性や健全性が確認できたため再稼働を了承することにした」としている。しかし、女川原発は東日本大震災の際、東電福島第一原発で記録された550ガルを超える567.5ガルの揺れに襲われた。原子力規制委員会の調査では、原子炉建屋の耐震壁に幅1ミリ未満のひびが1130か所見つかり、地震への剛性が最大70%低下していることが判明している。このため、東北電力が再稼働をめざして設置変更許可申請を行ってから審査に要した年月は5年9か月にも及んだ。
 女川町長は、「避難道路の整備等防災対策のとりくみが再稼働の前提条件」としているが、避難計画の有効性は審査会合では審査されていない。女川原発に事故があった際には住民の多くが原発近くを通る道路で避難することになるが、19年の台風19号では主要道路が冠水し17時間通行できなくなった。地元は国道バイパスの整備等を県や国に要望しているものの予算化の見通しはたっていない。このような中での再稼働の了承は、地域住民の命を蔑ろにするものであり、到底容認できない。町長は町民の命を最優先し、再稼働了承の判断を撤回すべきである。
原子力規制庁では「避難計画は内閣府の原子力防災が担当」としているが、内閣府は「現在の法律では避難計画の策定は国の責務とされていない。市町村や県がつくる避難計画については、国も防災対策法上、助言、指導、勧告を行う」としており、双方ともに責任を回避している。
日教組は、東電福島第一原発事故を過去のものとし国民の命と暮らしを犠牲にすることを断じて認めない。「核と人類は共存できない」との立場から、経済よりも人命を優先する脱原発社会の実現とすべての原発の再稼働阻止をめざし、今後とも原水禁・平和フォーラムとともにとりくみを強化していく。

以上

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