談話

大阪朝鮮学園「無償化」裁判の大阪高裁判決に対する書記長談話

日本教職員組合書記長 清水 秀行
2018年10月03日

9月27日、大阪朝鮮学園が、朝鮮学校を高校授業料無償化から除外したことは、不当な差別で憲法違反であるとして、国を提訴した「無償化」裁判の控訴審判決が、大阪高裁(高橋譲裁判長)で言い渡された。
裁判長は、「朝鮮学校が在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)から指導や財政支援を受けている。北朝鮮の指導者を礼賛した教科書を使っている。朝鮮総連が教育内容に強い影響力を行使している。教育の自主性をゆがめるような支配を受けている合理的な疑いがある」と一審大阪地裁判決と逆の判断を示した。
さらに、「無償化した場合は授業料に充てるための就学支援金の管理が適正に行われないことを疑わせる」として、「国による裁量権の逸脱や乱用とは言えず、違法ではない」と結論付け、国に取り消しを命じて無償化対象に指定するよう義務付けた一審判決を取り消し、学園の訴えを退けた。国側の主張を追認する極めて不当な判決であり、断じて容認できない。

一審では、国側が「朝鮮高級学校が朝鮮総連から『不当な支配』を受けているとの疑念が生じる」としていた点については、朝鮮学校の教育内容を「北朝鮮の指導者に敬愛の念を抱き、国家理念を賛美する内容の教育が行われており、朝鮮総連が一定程度関与していることが認められる」としながらも、民族教育の意義を踏まえれば「不当な支配」とは評価できず、「歴史的事情に照らせば適正を欠くとは認められない」とし、無償化を命じていた。
今回の判決は、歴史的過程の中で、日本での生活を余儀なくされている在日韓国・朝鮮の子どもたちに、当然の権利として与えられている民族教育の権利を侵害するものである。政治的理由で子どもたちを差別・分断することは許されるものではなく、朝鮮学校の子どもたちが、日本で民族教育を学ぶ権利を保障しなければならない。また、支援金が適正に管理されない可能性があるとした国の主張は、それ自体が予断と偏見によるもので、その主張を司法が無批判に受け入れたことは、司法の独立した判断とは到底言いがたい。

日本政府に対し、国連社会権規約委員会、国連人権理事会、人種差別撤廃委員会等は、再三にわたって勧告を行い、高校無償化制度から朝鮮学校のみを除外していることは差別であり、制度を朝鮮学校にも適用することを求めている。このような国際的な見解をもふまえ、司法は判断を行うべきである。
日教組は、今回の大阪高裁判決に強く抗議をするとともに、すべての子どもに教育の機会を保障するために、引き続き平和フォーラム等とともにとりくみをすすめていく。

以上 

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