談話

「米国による未臨界核実験」に対する書記長談話

日本教職員組合書記長 清水 秀行
2018年10月22日

 米国が西部ネバダ州の核実験場で昨年12月13日に、未臨界核実験を行っていたことが明らかとなった。未臨界核実験はオバマ政権下の2012年12月以来で通算28回目となり、トランプ政権下では初である。また、トランプ大統領は10月20日、冷戦時代に旧ソ連と米国との間で結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱する意向を表明した。中距離ミサイルの再開発も示唆しており、米ロだけでなく、中国も巻き込んだ新たな軍拡競争へと発展する恐れがある。日教組は、核兵器の廃絶という人類共通の目標の実現のためとりくんできた立場から、米国の行動に強く抗議する。

 2018年2月、トランプ政権は「爆発力の小さい核兵器の開発」など柔軟かつ多様な核戦力の必要性を打ち出した「核態勢見直し(NPR)」を発表している。これについても、朝鮮民主主義人民共和国に完全な非核化を求める一方、自国での核戦力を維持・強化する米国の行動は、ダブルスタンダートと言わざるを得ず、到底受け入れることはできない。

 日本政府は、米国の核の傘に守られている安全保障上の立場から、2017年7月に国連で採択された「核兵器禁止条約」の交渉会議に参加せず、批准・発効に反対し続けている。今回の実験に関しても、大菅岳史外務報道次官が「未臨界実験等核爆発を伴わない核実験の扱いについては、核兵器のない世界をめざすとの立場から核軍縮にとりくんでいく中で検討すべきである」と理解を示している。日教組は日本政府に対し、今こそ唯一の戦争被爆国として、核兵器廃絶のとりくみの先頭に立ち、米国の未臨界核実験の実施に抗議するよう強く求める。

 日教組は「核と人類は共存できない」として、平和フォーラム・原水禁とともに運動をすすめてきた。引き続き核兵器によるヒロシマ・ナガサキの惨劇を二度と繰り返してはならないことを訴え、「非人道的兵器である核兵器の廃絶」という人類共通の目標実現のため、NPT体制の強化と国際社会の一致した行動を求めて幅広い世論喚起等に継続的にとりくんでいく。

                                                             以 上

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