談話

国際学習到達度調査(PISA2015)の結果公表に対する書記長談話

2016年12月08日

国際学習到達度調査(PISA2015)の結果公表に対する書記長談話

 2016年12月7日

 日本教職員組合書記長 清水 秀行

12月6日、経済協力開発機構(OECD)は、「国際学習到達度調査(PISA2015)」の結果と分析データを公表した。2015年調査は、科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシーの3分野のうち、科学的リテラシーを中心分野とし、72の国・地域から約54万人が参加した。日本は3分野において平均得点が高いグループに位置する結果となった。

日本の科学的リテラシーについて、「科学の楽しさ」「科学に関連する活動」「理科学習者としての自己効力感」の指標値は、OECD平均を大きく下回った。11月29日に公表された「国際数学・理科教育動向調査(TIMMS2015)」においても同様の結果が示されている。学ぶ意義や楽しさは「学び」の根幹にかかわるものであり、重く受けとめなければならない。

各国政府は、この分析結果を踏まえ教育政策を展開していくことが予想されるが、教育政策の立案・実施は、学校現場や子どもの実態をふまえたものでなければならない。

文科省は、PISA2015で読解力の順位が低下したことに着目し、読解力の向上のため、「指導改善のポイント」を作成し、2017年度から活用するとしている。

今すべきことは、点数や順位を上げるための手立てに重点をおくことではなく、学ぶ意欲や学びあう人間関係づくりなど、子どもが主体となる学びをすすめることである。

全国学力・学習状況調査が実施されてから10年が経過し、「平均正答数・正答率」の向上が求められるなか、学校現場はその対策を迫られ、子どもや教職員は追い込まれている。国際調査の結果をふまえ、全国学力・学習状況調査のあり方の抜本的な見直しが求められる。

日本教職員組合は引き続き、子どもと向きあう時間、教材研究や授業準備の時間を確保するための教育条件整備を求めるとともに、子どもたちのゆたかな学びを保障するために、子どもを中心に据えた教育研究活動をすすめていく。

                                                                                    以上

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