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談話

「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の成立に対する書記長談話

2016年12月07日

「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の成立に対する書記長談話

 2016年12月7日

 日本教職員組合書記長 清水 秀行

本日、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が参議院本会議で可決、成立した。この法律は、民進党を含む超党派の議員連盟が議員立法として第190回通常国会に上程したものの継続審議となっていたものである。日本教職員組合は、法案が15年5月に議連の座長試案として公表された時点から、すべての子どもの学ぶ権利を保障し、インクルーシブな学校・社会づくりにつながることを求め、文科省協議や国会対策などを行ってきた。

この法律では、義務教育段階の普通教育を十分に受けていない人の意思を尊重しつつ、国籍や年齢、その他の事情にかかわりなく、教育を受ける機会を確保するとともに、夜間中学が法的に位置づけられるなど、すべての人の学習権を保障することにつながるとしている。一方で、不登校を子ども自身の心理的な事由にすることや、不登校の子どもを別施設・別教育課程に分離・排除してともに学ぶ権利を損ないかねないなど、インクルーシブな学校づくりとは逆行し、子どもや保護者をさらに追い詰めることにつながりかねない。また、不登校特例校の管理・運営や支援に関与する民間団体等の条件も曖昧で、営利を目的とした団体等の参入に道を開いたことは問題である。

日本教職員組合は、法案が議連や各党で審議されている段階から継続的に問題点を指摘し、修正を求めてきた。国会提出後は、子どもや保護者・教職員など当事者の意見を十分ふまえたものとすることなどを要請するとともに、慎重な審議を求めてきた。審議時間は不十分であったものの、子どもの権利や主体的な選択を尊重すること、営利目的の団体等の参入には慎重を期すこと、夜間中学がこれまで果たしてきた教育保障のとりくみを尊重し、地域の実情を考慮した整備とすることなどが附帯決議に盛り込まれた。今後、基本指針の策定や施行3年以内の見直しにあたっては、子どもの最善の利益を保障するものとなるよう、日政連議員などとも連携し、とりくみを強化していく必要がある。

日本教職員組合は、引き続き憲法・子どもの権利条約などにある教育を受ける権利が保障され、すべての子どもが分離・排除されることなく、ともに学び育つことのできる学校づくりをめざして、全力をあげとりくんでいく。     

                                                                                    以上

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