談話

南スーダンPKOへの「駆けつけ警護」付与の閣議決定に抗議する書記長談話

2016年11月16日

南スーダンPKOへの「駆けつけ警護」付与の閣議決定に抗議する書記長談話

 2016年11月16日

 日本教職員組合書記長 清水 秀行

15日、安倍内閣は、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣する陸上自衛隊の部隊に、安全保障関連法にもとづく新任務「駆けつけ警護」を付与することなどを盛り込んだ実施計画を閣議決定した。このことに対し、日本教職員組合は強く抗議する。

南スーダンでは、2013年12月に大統領派と副大統領派の間で大規模な武力衝突が起こり、2015年に和平合意が成立したものの、今年7月には首都ジュバで両派による大規模な戦闘が発生している。国連事務総長特別顧問は今月11日、南スーダンで「民族間の暴力が激化し、ジェノサイド(集団殺害)になる危険性がある」と警告している。 

南スーダン情勢が悪化の一途を辿っているにもかかわらず、最近同国を訪問した稲田防衛大臣や柴山首相補佐官は、現在のジュバは「比較的平穏」と報告した。内戦状態が近く収束する見通しはなく、首都やその周辺に戦闘が及ばない保証はない。憲法9条による「交戦権」の否定、自衛隊法が定める専守防衛、PKO法などその他の関連法をみても、自衛隊が海外で参戦することはできない。

これまでの派遣は、PKO参加5原則にもとづいて、人道的な国際救援活動や国際選挙監視活動だったが、「駆けつけ警護」が加わる他、武器使用基準においても、その目的が「生命及び身体の防衛」から「業務を妨害する行為を排除」に拡大された。さらに「小型武器の使用」から「合理的に必要と判断される武器」となり、武器使用基準が大きく変質している。まさに、自衛隊員が「殺し、殺される」危険性が現実のものとなろうとしている。

日本教職員組合は、違憲の安全保障関連法の実効を許すことはできない。「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンのもと、今後も平和フォーラムとともに新任務を帯びた南スーダンへの自衛隊の派兵はもとより、憲法を逸脱した動きに断固反対していく。

                               以 上 

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