談話
「日印原子力協定」署名に対する書記長談話
「日印原子力協定」署名に対する書記長談話
2016年11月16日
日本教職員組合書記長 清水 秀行
11月11日、安倍首相とインドのモディ首相は、日本の原発輸出を可能にする「日印原子力協定」に署名した。日本教職員組合は、核軍縮・核不拡散の観点から、強く抗議する。
インドは核兵器を所有しながら、核を統制する国際的な枠組みである核拡散防止条約(NPT)に加盟していない。国際法で認められていない核保有国と唯一の戦争被爆国として非核三原則を国是として核兵器廃絶を訴えてきた日本が「原子力協定」を結ぶべきではない。日本が確約を求めてきた「核実験を実施した場合は協力を停止する」という条件は、協定には明記されず関連文書とされた。
核不拡散を確保するならば、協定そのものに「核実験が行われた場合、協定は破棄される」と記載すべきである。日本は国連で10月、核兵器禁止条約の制定を求める決議案に反対したのに続き、被爆国として核兵器断絶を訴えるべき立場にもかかわらず逆行する動きが続いている。
外務省は「インドが締結済みの協定の中で、最も厳しい米印協定と同等だ」と説明するが、被爆国としての独自の主張と上乗せした歯止めがないことに等しい。また、広島や長崎の市長が「核廃絶の障害になりかねない」「核物資や技術・資機材の核兵器開発への転用が懸念される」として交渉中止を求めてきたのに、政府は受け止めなかった。日本は、東電福島第一原子力発電所において、歴史的な過酷事故を起こした。その事故収束すら見通しが立たず、被災者への支援・保障すら十分でない日本が、他国の原発建設を推進することは倫理的・人道的に許しがたい。
日本教職員組合は、「核と人類は共存できない」との立場から、核兵器廃絶・NPT体制の強化にむけて、平和フォーラム・原水禁と連携してとりくむ。また、原発輸出に断固反対し、再生可能エネルギー政策への転換など、脱原発社会実現へむけとりくみを一層強化していく。
以 上