談話
中教審教育課程部会「審議のまとめ」に対する書記長談話
中教審教育課程部会「審議のまとめ」に対する書記長談話
2007年11月13日
11月7日、中教審教育課程部会は、学習指導要領改訂に向けた審議経過を「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」(以下「審議のまとめ」)として公表しました。
これに対し、日本教職員組合は書記長談話を発表しました。
中教審教育課程部会「審議のまとめ」に対する書記長談話
2008年8月28日
日本教職員組合 書記長 岡本泰良
昨日(7日)、中教審教育課程部会は、学習指導要領改訂に向けた審議経過を「審議のまとめ」として公表した。「生きる力」を柱とした現行学習指導要領の理
念は国際的な学力の潮流から見ても「正しかった」としながらも、その理念を実現するための「手だてが十分ではなかった」として、「知識・技能を活用する学
習活動の充実」や「授業時数増」「総合的な学習の時間・選択教科の時数減」等を示している。
「審議のまとめ」において「教師が子どもと向き合える時間の確保」が明記されたが、教職員定数増を求めた文
科省の08年度概算要求に対して、財務省は強く異論を唱えており、実現は不透明な状況である。条件整備をはじめとした総合的な教育施策の見直しがすすまな
い中、「審議のまとめ」がそのまま答申・指導要領改訂に反映された場合、学校現場の更なる混乱は避けられない。
「知識・技能を活用する学習」の充実が必要であるとして、教科学習の授業時数を増加させるとしている。しか
し、必要性を唱えるだけでは実効性あるものにはならず、授業時数だけが増え、ますます子どもたちの「ゆとり」は奪われることになる。一人ひとりの子どもの
課題意識から展開される課題追究型の学習にとって、それを支える体制づくりが不可欠であり、単に授業時数を増やすのではなく、30人以下学級の実現等の条
件整備を優先すべきである。
「総合的な学習の時間」は、既存の教科の枠組みを超えて平和・人権・共生など、子どもたちが実際に生きてい
る現実ときり結んでいくようなテーマを追究し、学ぶことの意味や価値が問い直されていく学習であり、主権者を育てる大切な場である。02年の導入からわず
か5年しか経過しておらず、充実のための支援策も講じられていないにもかかわらず、「総合的な学習の時間」を縮減することは、現行指導要領の理念を尊重す
る姿勢と相反するものである。「受験学力」「点数学力」からの脱却を図る具体的な施策を早急に講じるとともに、「総合的な学習の時間」の授業時数の確保と
人的・物的な支援策が必要である。
私たちは、子ども・地域の実態に即したカリキュラムづくりが可能となる教育施策・条件整備を求めるとともに、一人ひとりの子どものゆたかな学びを保障するため、保護者・地域住民とともに日々の教育実践をすすめていく。