談話
鳥取県教育委員会による「全国学力・学習状況調査」の結果開示に対する書記長談話
鳥取県教育委員会による「全国学力・学習状況調査」の結果開示に対する書記長談話
2009年9月9日
日本教職員組合 書記長 岡本 泰良
9月7日、鳥取県教育委員会は、情報公開条例にもとづく公開請求を受け、2009年度全国学力・学習状況調査の市町村別・学校別の結果を開示した。
鳥取県においては、昨年度も情報公開条例にもとづき開示を求める動きがあったが、学校現場への影響を懸念する各教育関係団体からの開示に慎重な意見が多く出される中で、教育委員会は非開示とした経緯がある。開示に対するさまざまな声がある中、教育委員会が一方的に市町村別・学校別の結果を開示すべきではない。
そもそも文科省の本調査に関する実施要領に、調査結果の取扱いについては序列化や過度な競争につながらないよう十分配慮するとし、「都道府県教育委員会は個々の市町村名・学校名を明らかにした公表は行わない」と明記されている。参加主体である各教育委員会は、実施要領に即して行うことを前提に参加しているはずであり、本来、教育委員会は調査の趣旨が遵守されるよう必要な措置を講ずる立場にある。にもかかわらず、市町村別とりわけ学校別の結果を開示するのは明らかに実施要領を無視する行為であり、断じて許されるものではない。
情報公開条例は、開示にあたって「序列化が生じないよう情報を使用しなければならない」とする配慮規定を設けているが、開示翌日の8日には一部新聞報道で市町村別の平均正答率一覧が掲載されているという事態が生じている。罰則のない配慮規定は意味を成さないことが明らかとなっている。特定の一部である調査の数値が子どもや学校、地域の評価につながることを強く危惧する。
調査の目的は、「教育および教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る」ことであり、結果の公表により学校・地域を序列化し、過度な競争を煽ることではない。点数を高めるための手立てに重点がおかれ、教育そのものが歪められることが断じてあってはならない。
鳥取県教育委員会による全国学力・学習状況調査の市町村別・学校別の結果開示に対し強く抗議するとともに、各都道府県や各市町村の結果公表においては、序列化や過度な競争につながらないよう慎重に行うことを求める。