談話

「新・教職員定数改善計画(案)」についての書記長談話

2010年08月31日

「新・教職員定数改善計画(案)」についての書記長談話

2010年8月30日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

文科省は、8月27日、「新・教職員定数改善計画(案)」を発表した。また、計画に基づき、初年度分(2011年度)8,300人の教職員定数増の概算要求を30日に行った。

今回の定数改善計画は、6月に閣議決定された「新成長戦略」や中教審の提言(7月26日)を踏まえ、計画的に公立学校の学級編制基準の引き下げや教職員定数の改善を行うため、新たに策定したものである。

小中学校の学級編制基準の引き下げは、1980年以来の30年ぶりであり、また、教職員定数改善計画の策定は10年ぶりである。日本教職員組合は、この間、30人以下学級の実現や様々な職種の定数改善を中心に、高校を含めた大幅な定数改善計画の策定を最重点課題としてとりくんできた。

今後は、この改善計画に基づき、初年度分である11年度概算要求を政府予算案として確定させること、また、国会での標準定数法の改正が重要なとりくみとなってくる。

予算編成をめぐる状況は、政府が概算要求組替え基準を閣議決定したことにより、各省庁に前年比1割削減を求めるなど、非常に厳しい編成作業となっている。文科省は、5090億円の削減枠を求められており、更に1千億円超を深堀りして削減し、その3倍の額を「元気な日本復活特別枠」に要望した。

初年度分である小学校1・2年の35人学級の実現に向けた定数改善については、その特別枠の中で要望している。

各省から特別枠に集まった事業の配分決定にあたっては、国民に開かれた形で政策の必要性や効果などを説明し、外部の意見なども踏まえて政策の優先順位付けを行うための「政策コンテスト」を実施するとしている。政府与党や財務省等への働きかけを強めるとともに、「子ども支援連絡会」に結集して中央集会を開催するなど、少人数学級の必要性・定数改善に向けた世論喚起が必要である。

今、学校現場は、小中学校における暴力行為の発生件数が過去最高を記録し、いじめの認知件数、不登校の児童生徒数も依然として憂慮すべき実態となっている。また、特別な支援を必要とする児童生徒が増加傾向にあり、保護者への対応も含め学校が直面する諸課題は多様化・複雑化している。このような状況の中で、教職員の多忙化は極まっており、持ち帰り残業を含めた超勤の常態化が、定年前退職者の増加や精神疾患による休職者の増大につながっている。

日本教職員組合は、教育課題に向き合い、子ども一人ひとりのゆたかな学びを保障する観点から、教育実践を展開するとともに、教育条件整備・充実にむけたとりくみをすすめている。学校現場の実情を保護者や市民、行政・政治に訴えるなどの社会的対話をおしすすめ、少人数学級・定数改善計画の実現にとりくんでいく。

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