談話

ソマリア沖への海上自衛隊派遣の決定に抗議する書記長談話

2009年01月30日

ソマリア沖への海上自衛隊派遣の決定に抗議する書記長談話

2009年1月30日

日本教職員組合 書記長 岡本泰良

政府は、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策のため、自衛隊法に基づく海上警備行動の発令を前提とした、海上自衛隊の護衛艦を派遣するための準備に着手した。
自衛隊法82条に規定している海上警備行動は、領海内の日本国民と船舶を防護することを想定しているものである。よって、ソマリア沖への海上自衛隊派遣
は、自衛隊法の趣旨を明らかに逸脱しているものであるとともに、憲法に抵触する重大な問題であり、看過できない。

田母神前空幕長の一連の言動により、自衛隊に対するシビリアンコントロールが機能していない状況が明らかと
なった。このような中、国会の関与がなく十分な議論がなされないまま、内閣の安全保障会議で派遣方針を決定し、防衛大臣の発令によって自衛隊を海外に派遣
することは、断じて容認できない。

イラクやアフガニスタンへの自衛隊の海外派遣における国会での情報公開・活動内容の検証が不十分である現在の状況からすると、ソマリア沖での活動も不明な状況になる懸念は払拭できない。

今回の海外派遣方針も含めた自衛隊の活動について、国会での審議・報告を徹底的に行い、シビリアンコントロールを機能させる必要がある。

また、海賊対策について、ほとんど議論することなく海上保安庁では対応できないと決めつけ、海上自衛隊の派遣を決めたことは、自衛隊の海外派遣の「実績づくり」を行い、「海外派遣恒久法」制定への道筋をつけようとする意図が透けて見える。

日本教職員組合は、「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンのもと、一貫して自衛隊の海外派遣に反対してきた。このような自衛隊の海外派遣の常態化を断じて許すことはできない。

海上自衛隊のソマリア沖への派遣方針及び準備指示に対して断固抗議するとともに、撤回を強く求める。また、自衛隊活動の検証・把握を含め、政府のシビリアンコントロールの徹底を強く求める。

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