談話
北朝鮮の砲撃に関する書記長談話
北朝鮮の砲撃に関する書記長談話
2010年11月24日
日本教職員組合書記長 岡本 泰良
11月23日、黄海上の軍事境界線と位置付けられる北方限界線(NLL)に近い西海(ソヘ)延坪島(ヨンピョンド)付近で陸海空合同軍事訓練を行っていた大韓民国(韓国)軍に対して、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)軍が、約170発の海岸砲を発射し、約80発は島に着弾したとの報道がなされた。
韓国軍合同参謀本部の発表によると、その砲撃により、民間人2人が死亡、3人が軽傷、韓国軍兵士2人が死亡、18人が重軽傷したとされている。日本政府関係者によると、韓国軍は北朝鮮黄海南道の海岸砲基地・兵舎に対して約80発の砲撃で応戦し、北朝鮮側にも被害が出たとの情報も出されている。
今回の砲撃に対して、北朝鮮最高司令部は「今後も、南朝鮮(韓国)がわが国領海を0.001ミリでも侵犯すれば、躊躇なく無慈悲な軍事的対応を継続する」と「報道」を発出し、李明博(イ・ミョンバク)大統領は「2度と挑発することができないよう対応措置をとるべき」と述べている。
また、日本政府も韓国への全面的な支持を表明し、「偶発的な事件ではない」との見方を示すとともに、「許し難いものであり、強く非難する」とし、北朝鮮に対する追加の制裁措置を検討する考えを示すなど、朝鮮半島情勢は1953年の朝鮮戦争休戦以降、最も深刻な事態を迎えていると言っても過言ではない。
日本教職員組合は、いかなる理由があろうとも、軍事的行為は許すことはできない。また、民間人の居住地が戦場となっている状況を看過することもできない。我々は今回の北朝鮮の砲撃に対して強く抗議するとともに、戦禍がこれ以上拡大せぬよう、両国政府に平和的手段による問題解決を望む。
仙谷由人官房長官は、11月5日に基準や手続き等の規程が示された朝鮮学校への授業料無償化適用問題に関わって、「プロセスをいったん停止する方向に動くと考えている」と述べている。
今回の砲撃と、無償化適用判断に「政治、外交上の問題は配慮しない」としていたこれまでの政府見解を結びつける考え方は理解しがたい。日本教職員組合は、朝鮮学校に学ぶすべての生徒たちに就学支援金が支給されるよう今後もとりくむとともに、朝鮮学校に通う児童・生徒及び在日朝鮮人の方々が誹謗中傷・差別を受けることの無いよう、政府の冷静な対応を強く願う。