談話

文科省の「新たな教職員定数改善計画案」に対する書記長談話

2012年09月07日

文科省の「新たな教職員定数改善計画案」に対する書記長談話

2012年9月7日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

本日、文科省は「新たな教職員定数改善計画案」を発表した。内容は、少人数学級推進と個別教育課題への対応として、来年度からの5年間で27,800人を改善するとしている。

様々な教育課題が山積している中、一人ひとりの子どもによりそう教育がますます必要となっている。そのためには、教職員定数の計画的な改善は喫緊の重要課題である。
日本教職員組合は、高校も含む定数改善計画の策定を求めてきた。これまで、定数改善は、義務と高校が「パラレル」で実施されてきており、今回の計画案で高校分の改善がないことは不満が残る。また、基礎定数による35人以下学級の実現を求めてきたが、計画案は、基礎定数化はより財源を必要とすることなどの理由から「加配方式」としている。
 加配方式による実際の定数配置は、都道府県からの申請を経て行われるものである。そこで、課題になるのが財源問題である。定数改善は全国知事会も要望している事項ではあるが、安定的な財源である義務教育費国庫負担金による国負担が2分の1から3分の1に減少しており、自治体財政難を理由に、35人以下学級や個別教育課題への対応に自治体間格差が生じることが危惧される。
 一方、計画期間中の35人以下学級の実施学年について、自治体が選択する方式としているが、多様な現場実態に即した運用として評価したい。

計画案が認められ実行された場合、教員ひとり当たり児童生徒数はOECD平均並みとなる。今回の計画案は「児童生徒の減少に伴う教職員の自然減」と「教職員の若返りに伴う給与減」による財源の範囲のものであり、当面、新たな財源は必要としないことから、財政当局も認めるべきである。
 定数改善にかかわる「検討会議」報告にもあるように、教職員定数改善は「子どもと正面から向き合い質の高い教育を行うために不可欠な体制整備」である。
 第7次定数改善計画の完成以降、7年もの間、国による改善計画がない状況が続いて
いることから、都道府県が先の見通しをもった計画的で安定的な教職員の採用・配置を可能とするためにも、国による改善計画の策定が不可欠である。
 日本教職員組合は、年末の予算編成に向けて、計画案が政府全体で決定されるよう、保護者を含む教育関係者と連携してとりくんでいく。

pagetop