談話

朝鮮学校を高校授業料無償化の対象から除外する省令変更に対する書記長談話

2013年02月21日

朝鮮学校を高校授業料無償化の対象から除外する省令変更に対する書記長談話

2013年2月20日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

2月20日、文科省は朝鮮学校を高校授業料の実質無償化の対象から除外するため省令を変更し、無償化適用を申請していた10校に不指定を通知した。

10年4月に高校授業料実質無償化はスタートしたが、朝鮮学校への適用は先送りにされたままとなっていた。無償化の対象として朝鮮学校は基準を満たす可能性が高かったものの、日朝間の政治課題の中で判断が凍結されていた。

日本教職員組合はこの間、外交問題などを理由に朝鮮学校の子どもを無償化の対象から除外することはすべての子どもに教育の機会を保障した国際人権A規約(13条の1)に反し、憲法26条、教育基本法の理念に照らしても問題であるとして、とりくみを強化してきた。

高校授業料無償化制度は本来高校などで学ぶ生徒一人ひとりに対する支給であり、学校はあくまで代理受給するものである。どこで学ぶかによって支給の可否が問われるべきものではない。この間支給を待ち望みながら朝鮮学校を卒業していった生徒たちの心は傷ついている。言われもない中傷や暴力的な行為にさらされたことも忘れてはならない。適用除外は「全ての意志ある高校生等が、安心して勉学に打ち込める社会をつくる」という制度の趣旨から外れているというだけでなく、まさに人権問題でもある。

10年6月の国連「子どもの権利委員会」における日本の報告に対する審査の最終見解でも、「中華学校、韓国・朝鮮人学校及びその他の出身の児童のための学校が不十分な補助金しか受けていないこと」に懸念が表明され、「外国人学校に対する補助金を増額すること」「ユネスコの教育における差別待遇の防止に関する条約への締結の検討」を促している。朝鮮学校のみを無償化の対象外とすることは、国際社会の人権に関する通念と全くかけ離れているものである。

今回の省令変更は、国が何の罪も責任もない子どもたちの人権を侵害するものであり、断じて容認できない。国会の議論を必要としない省令変更という形式で法の趣旨をねじ曲げたことも大きな問題である。日本教職員組合は、強く抗議するとともに、引き続きすべての子どもに教育の機会を保障するとりくみをすすめていく。

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