談話

麻生副総理兼財務大臣の発言に対する書記長談話

2013年08月05日

麻生副総理兼財務大臣の発言に対する書記長談話

2013年8月5日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

麻生太郎副総理兼財務大臣は、7月29日夜、講演会において「『静かにやろうや』ということで、ワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気づかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」との発言をした。ナチスを肯定し、憲法を事実上破棄する手法により国民主権を危機にさらしかねない極めて不適切な発言である。

ナチス党のヒトラーは、国会議事堂放火事件を口実に、集会や結社の自由を剥奪するとともに、憲法に反する法律すら政府のみで制定できる「全権委任法」を成立させ、ワイマール憲法を死文化し独裁を国民に強いた。大量虐殺など世界を恐怖に陥れたナチスの歴史を批判的・反省的に学ぶ以外に何を学ぼうと言うのか。

今でさえ安倍首相の歴史認識をめぐる発言などに対して、世界各国から批判の声があがっている。今回の麻生発言は、「日本の政治は、第二次世界大戦の結果として導き出された自由と民主主義を否定する傾向にある」「日本の政治家は、国際常識を欠く」との批判に拍車をかけるものである。発言の撤回ですむ問題ではない。また、麻生副総理兼財務大臣は、過去にも多くの問題発言や差別発言を行い、大きな批判にさらされてきた。このような人物を重要閣僚に起用した安倍首相の任命責任も厳しく問われなければならない。

日本教職員組合は、立憲主義の徹底をめざすとともに憲法理念を実現し、改悪の動きに反対するとりくみを強化してきた。麻生発言は、国民的議論も、民主的手続きも全て無視して、国の最高法規である日本国憲法の無効化を目論むものである。安倍政権は、憲法の規定に基づく選挙制度の中で誕生し、憲法を尊重する義務を課されている。数の優位を持って、憲法にもとづく法制度や国民世論を無視して、恣意的な政治を行うことは立憲主義の否定であり、決して許されない。麻生発言に断固として抗議し、謝罪と副総理兼財務大臣の即時辞任を強く要求する。
 以上

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