談話

原発に関わる新規制基準決定に対する書記長談話

2013年06月25日

原発に関わる新規制基準決定に対する書記長談話

2013年6月24日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

原子力規制委員会は、6月19日、原発に関わる新規制基準を決定した。これを受け政府は21日、施行日を7月8日とする政令を閣議決定した。

田中俊一原子力規制委員長は、新規制基準の決定にあたり「根幹には福島第一原発のような事故を二度と起こさないことがある。世界でも一番厳しい規制基準をつくっていくんだととりくんできた」と語った。しかし、未だ東電福島第一原発事故の究明も未解決であり、地震対策への反映が不十分、格納容器の構造的欠陥への抜本的対策を怠り、可搬設備を多用するなど科学的、技術的にも不完全な基準と言わざるを得ない。

特に、加圧水型原子炉のフィルタ・ベントや福島第一原発事故で応急対策の柱とされてきた常設直流電源設備など「特定重大事故等対処設備」に係る基準に5年間の猶予を設けたことや、原発の40年制限に例外を与えたことは、原発推進勢力の圧力に屈し、規制基準の形骸化をはかったものであり容認できない。

安倍晋三首相は、福島第一原発事故の教訓や、昨年の衆院選の公約「原子力に依存しない経済・社会の確立」すら忘れたかのように原発依存への回帰をめざし、成長戦略に原発再稼働を盛り込むとともに、海外で原発のトップセールスを行っている。自民党の高市早苗政調会長は、「原発事故で死者が出ていない」ことを理由に、再稼働を目指す考えを表明し、国民の厳しい批判に晒された。さらに電力4社は7月中にも、最大6原発12基で再稼働に向けた安全審査を申請することとしている。

 しかし、国民の多くが福島第一原発事故から学んだ教訓は、原発の安全対策以上に、原発への依存度を減らし脱原発をはかることである。今年6月の世論調査(朝日新聞調べ)では、原発再稼働に反対する人の割合は58%で、賛成の28%を大きく上回っていることからも明らかである。

日本教職員組合は、「核と人類は共存できない」として、原子力政策推進から再生エネルギーの促進、省エネルギー推進への政策転換を求めてきた。新規制基準による原発再稼動の動きを断じて容認することはできない。今後とも日本教職員組合は、平和フォーラム・原水禁とともに脱原発社会の実現をめざしとりくみを強化していく。

 以上

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