談話

「全国学力・学習状況調査」の結果の取扱いに関する書記長談話

2013年11月18日

「全国学力・学習状況調査」の結果の取扱いに関する書記長談話

2013年11月18日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

11月15日、2014年度以降における全国学力・学習状況調査の結果の取扱いに関し、文科省「全国的な学力調査に関する専門家会議」において、「平均正答率だけを公表することは行わないと縛りをかけた上で、公表できるようにすることが妥当」との方向性が示された。しかし、結果公表に関しては、「序列化・過度な競争がおこるため、現行どおりでよい」「最低1年の議論が必要である」等の反対および慎重な意見も多く出されている。
 文科省が行ったアンケート調査結果でも、子どもに近い学校や市町村教育委員会の約8割、市町村長の6割が公表には反対している。また、保護者においても反対の声の方が多い。記述の意見の中には、「学校や地域に対する偏見につながる」「子どもが劣等感を感じるおそれがある」との、危惧する声が出されている。

現行の実施要領においても、各地域から「点数・順位に一喜一憂し、平均点より上をめざすことを強いられている」「全国学力調査の点数向上のために、新たな自治体テストが実施されたり、繰り返し練習が過熱している」等、すでに序列化・過度の競争により教育がゆがめられているとの声が出されている。また、一部の自治体では実施要領を逸脱した動きがあり、市町村別・学校別の結果公表は行わないという原則を崩せば、序列化・過度の競争に拍車がかかることになる。

日本教職員組合は、子どもの学ぶ意欲や学びあう人間関係づくりなど、子どもたちが主体となる「ゆたかな学び」を保障するため、全国学力・学習状況調査が、少人数学級の推進・加配措置など、子ども一人ひとりの学びの保障に資する教育条件整備につながるよう求めてきた。
 調査が本来の趣旨からかけ離れ、競争・序列化により子どもたちにとって大きな負担・ストレスとなっている現状をふまえ、悉皆による調査方式を抜本的に見直す必要がある。今後の調査結果の取扱いについても、「市町村別・学校別の結果公表を行わない」「結果は学力の特定の一部分であることや学校の教育活動の一側面であることを説明する必要がある」ことを、引き続き実施要領に明記することを強く求める。

pagetop